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Amazonに「倉庫労働者に生産性ノルマを適切に知らせなかった」として9億円超の罰金が科せられる


2024年6月、Amazonが「倉庫労働者に対して生産性のノルマを書面で適切に通知しなかった」として、カリフォルニア州労働委員会から590万1700ドル(約9億3000万円)の罰金を科せられました。Amazonが違反したとされる法案は別名「Warehouse Quotas law(倉庫割り当て法)」とも呼ばれており、実質的にAmazonの倉庫を狙い撃ちした法案となっています。

Labor Commissioner Cites Amazon Nearly $6 Million for Violating California’s Warehouse Quotas Law | California Department of Industrial Relations
https://www.dir.ca.gov/DIRNews/2024/2024-46.html


Amazon fined $5.9 million over warehouse worker quotas in California | Reuters
https://www.reuters.com/sustainability/boards-policy-regulation/amazon-fined-59-million-over-warehouse-worker-quotas-california-2024-06-18/

Amazon Fined $5.9 Million Over Warehouse Productivity Quotas - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-06-18/amazon-fined-5-9-million-over-warehouse-productivity-quotas

Amazon Is Fined Nearly $6 Million Over Warehouse Work Quotas - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/06/18/business/economy/amazon-california-productivity-quota.html

Amazonの物流センター倉庫は労働環境が過酷であることが以前から報じられており、2023年にはイギリスで一部の倉庫労働者が偽の雇用条件にだまされて労働させられていた事例が発覚したほか、41%の倉庫労働者は仕事中にケガをした経験があるという調査結果も報告されています。

こうしたAmazon倉庫の劣悪な労働環境を改善するため、アメリカの一部の自治体ではAmazon倉庫を対象とした独自の法律を制定しています。2021年にカリフォルニア州議会で可決された倉庫割り当て法もそのひとつであり、法案では「倉庫や配送センターで働く従業員に食事や休憩を妨げるようなノルマを課してはならない」ことが定められています。この法案に具体的な企業名は記されていないものの、実質的にAmazon倉庫を狙い撃ちした法案であると指摘されていました。

ほぼAmazon狙い撃ちの「倉庫従業員に食事やトイレを妨げるようなノルマを課してはならない」という法案がカリフォルニア州で可決 - GIGAZINE


カリフォルニア州労働委員会は2022年1月1日に施行された倉庫割り当て法に基づき、2022年9月22日からAmazonの倉庫における労働環境の調査を実施しました。その結果、2023年10月20日~2024年3月9日にかけて、モレノバレーレッドランズにあるAmazon倉庫で合計5万9017件の違反があったことがわかったそうです。

報道によると、Amazonはこれらの倉庫で労働者に「生産性のノルマ」を適切に通知しておらず、倉庫割り当て法に違反したとのこと。ある倉庫労働者は日刊紙のニューヨーク・タイムズに対し、「十分な数の商品をスキャンできないと指摘されてしまいます。これは実際に私に起きたことで、ノルマにあと1ポイント足りなかったと言われましたが、一体どれくらいが目標なのかも知りませんでした」と証言しています。

一連の調査結果を受けて、カリフォルニア州労働委員会は倉庫割り当て法に基づいて、Amazonに対して約9億3000万円の罰金を科しました。労働委員のリリア・ガルシア・ブラウワー氏は、「Amazonがこの2つの倉庫で使用していた一対一の評価システムは、まさに倉庫割り当て法が防止しようとしていたものです。非開示のノルマは、労働者をもっと早く働かなければいけないというプレッシャーにさらし、休憩せずに働くことを余儀なくさせることで、負傷率の上昇やその他の違反につながる可能性があります」とコメントしました。


今回の罰金について、Amazonの広報担当者であるモーリーン・リンチ・ヴォーゲル氏は、Amazonは罰金を不服として申し立てをしていると説明しています。ヴォーゲル氏は、「Amazonでは、個々のパフォーマンスが現場全体のチームパフォーマンスと連動し、長期にわたって評価されます。社員はいつでも自分のパフォーマンスを振り返ることができ、また振り返ることが奨励されています」と述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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