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Amazon倉庫の労働者がセキュリティチェックで拘束される時間は勤務時間対象外との逆転判決が下る

By Robert Scoble

Amazon倉庫に勤務する従業員が「倉庫を退出する時に課せられるセキュリティチェックで長時間待機させられる時間は勤務時間なので残業代が支払われるべきだ」として訴えた裁判で、米連邦控訴裁判所が残業代の支払いを認める判決を下したためAmazonは上訴して内容を争っていました。最高裁まで持ち込まれて争われてた裁判は、「セキュリティチェックは勤務時間対象外なので残業代の支払いは不要」という逆転判決で幕を閉じました。

SCOTUS Amazon Ruling
http://ja.scribd.com/doc/249650310/SCOTUS-Amazon-Ruling

U.S. top court rejects worker pay for security-screening time | Reuters
http://www.reuters.com/article/2014/12/09/us-usa-court-workers-idUSKBN0JN1P820141209

世界中に設けられたAmazonの倉庫は膨大な商品を管理するため広大な敷地に建つ巨大施設で、中は商品であふれかえりショッピングシーズンになるとカオス状態になることが知られています。

Amazon巨大倉庫の信じられない規模のブラックフライデー作業風景 - GIGAZINE


巨大な倉庫内で休む暇もなく商品のピックアップ作業にいそしむ従業員たちは、時間厳守のAmazonの方針の下、秒単位での行動が求められます。なお「遅刻」には厳しいペナルティが課せられており、最悪クビにつながるため従業員は時間に追われる毎日を過ごすことになる様子は、以下の記事でも確認できます。

Amazon倉庫で身分を隠して働いた記者が語る「過酷な労働環境」とは? - GIGAZINE


時間厳守のAmazon倉庫現場ですが、セキュリティの厳しさも有名で、作業員が商品を倉庫外へ持ち出さないよう徹底した管理体制が敷かれており、作業員は食事休憩や帰宅するときには必ず金属探知機のゲートをくぐる必要があります。今回の裁判では、この金属ゲートをくぐらされるセキュリティチェックの時間が勤務時間にあたるのかどうかが争われたというわけです。

米連邦控訴裁判所では、「セキュリティチェックに25分もかかることがある」「毎日毎日、帰宅する際にセキュリティチェックで拘束された時間には残業代が支払われるべきだ」とする原告の労働者側に対して、被告のAmazonは「セキュリティチェックは90秒で済むもので、順番待ちなどなかった」と反論しましたが、米連邦控訴裁判所は2013年4月に「セキュリティチェックで拘束される時間は勤務時間内であるため残業代が支払われるべき」と労働者勝訴の判決を下しました。

しかし、Amazonが上訴したため決着が持ち越された最高裁判所での最後の闘いでは、最高裁判所は一転、「セキュリティチェックは勤務時間外なのでAmazonに残業代支払義務はない」とする原告敗訴の逆転判決を下しました。この勤務時間にあたらないという根拠は、「勤務時間と言えるためにはその作業が業務遂行上、『本質的な要素』である必要があるところ、セキュリティチェックは本質的な要素にはあたらないから」というものです。

By David

今回のAmazon倉庫での拘束時間を巡る判決は、Amazon倉庫での業務だけでなくアメリカ国内の労働環境を巡る争いに大きな影響を与えると見られていますが、最高裁が示した「本質的な要素」の判断については個々の事案に即したものになると言えそうです。Amazon労働者が不当性を訴えたとおり、セキュリティチェックが恒常的に労働者を長時間拘束するものであり、このセキュリティチェックによって雇用者であるAmazonが盗難予防の結果、多大な利益を上げているという構図があるならば「本質的な要素」とみなされる可能性はなきにしもあらずと考えられます。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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