健康で幸福な老化「サクセスフル・エイジング」を達成するには1日7時間以上の睡眠が重要だという研究結果
「できる限り長生きしたい」と考えている人は多いはずですが、同じ長生きでも病気に苦しみながら長生きするのと健康的に長生きするのでは、幸福度が大きく異なります。そこで近年は、健康的で質の高い生活を送りながら長生きすることを指すサクセスフル・エイジングが注目されています。3000人以上の被験者を追跡した新たな研究では、一晩に少なくとも7時間以上の睡眠を取っている人々は、サクセスフル・エイジングを達成しやすいことがわかりました。
The association between sleep duration trajectories and successful aging: a population-based cohort study | BMC Public Health | Full Text
https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12889-024-20524-7
Scientists Reveal How Much Sleep You Need For 'Successful Aging' : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/scientists-reveal-how-much-sleep-you-need-for-successful-aging
中国の温州医科大学の研究チームは、2011年・2013年・2015年に睡眠習慣が記録され、その5年後に健康診断を受けた被験者3306人分のデータを分析しました。被験者は調査開始時点で主要な慢性疾患を持っておらず、追跡期間の終了時点で60歳を超えていました。
分析では、被験者がサクセスフル・エイジングを達成したかどうかに焦点が当てられました。研究チームはサクセスフル・エイジングについて、「主要な慢性疾患がない」「身体機能に障害がない」「認知機能が高い」「メンタルヘルスが良好である」「人生に積極的に関与している」という5項目を満たしたかどうかで評価しました。なお、「人生に積極的に関与している」の項目は、具体的に過去1カ月の間に友人と会ったかや、マージャン・チェス・トランプなどのゲームをしたか、あるいは地域のイベントへ参加したかなど、特定の社会的な活動に参加していたかどうかなどで評価されました。
分析の結果、追跡期間の終了時点でサクセスフル・エイジングの5項目をすべて満たした被験者は、全体のうちわずか455人(13.8%)でした。そのうち307人(約66%)は、常に一晩あたり7時間以上の睡眠をとっていたことが判明しました。
研究チームは、4年間の睡眠習慣に基づいて被験者を「long stable(長時間安定グループ:常に平均8~9時間)」「normal stable(通常安定グループ:常に7~8時間)」「decreasing(減少グループ:8時間以上から6時間未満に減った)」「increasing(増加グループ:6時間未満から8時間以上に増えた)」「short stable(短時間安定グループ:常に5~6時間)」の5グループに分類しました。
以下のグラフは、5グループのうちサクセスフル・エイジングを達成した人の割合を示したもの。長時間安定グループは17.1%、通常安定グループは18.1%と高めで、減少グループは9.9%、増加グループは10.6%、短時間安定グループは8.8%と有意な差がみられました。
研究チームは、「これらの発見は、慢性的な睡眠不足や睡眠時間の増加または減少パターンが、単なる加齢による変化ではないことを浮き彫りにしています。これらはむしろ、サクセスフル・エイジングを追求する上での障害となる、重要な指標として浮上しています」と述べました。
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