サイエンス

健康的な睡眠のために最適な食事とは?避けるべき食習慣は?


「寝る前にコーヒーを飲むと眠れなくなる」など、寝る前に摂取するものが睡眠に影響を与えることは広く知られていますが、同様に、近年では1日の食事パターンが睡眠の質に影響を与える可能性についての研究が進んでいます。ミシガン大学の栄養疫学者であるエリカ・ヤンセン氏が、健康的な睡眠に最適な食事について解説しています。

Associations between sleep duration and dietary quality: Results from a nationally-representative survey of US adults - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0195666319315983

Changes in fruit and vegetable consumption in relation to changes in sleep characteristics over a 3-month period among young adults - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2352721821000139

What’s the best diet for healthy sleep? A nutritional epidemiologist explains what food choices will help you get more restful z’s
https://theconversation.com/whats-the-best-diet-for-healthy-sleep-a-nutritional-epidemiologist-explains-what-food-choices-will-help-you-get-more-restful-zs-219955


ヤンセン氏らの研究チームは、18歳以上のアメリカ人における睡眠と食事の関連性について調査を行うため、アメリカ政府が示す「アメリカ人のための食事ガイドライン」に従っている人が、十分な睡眠時間を確保できているかについて分析を行いました。

調査の結果、果物や野菜、豆類、全粒穀物を十分に摂取していないなど、食事ガイドラインの推奨事項を守らなかった人々は、守った人々に比べて睡眠時間が短くなる傾向があることが判明しました。

また、21歳から30歳までの若者1000人を対象とした研究では、食事における果物と野菜の摂取量を3カ月間にわたり増やしたところ、睡眠の質が向上し、不眠症の症状が軽減されたことが報告されています。


ヤンセン氏によると、より良い睡眠に関連していると考えられる食物の例は「脂肪分の多い魚」「乳製品」「キウイフルーツ」「タルトチェリー」「いちごやブルーベリーなどのベリー類」があるとのこと。これらを食べることで、脳内で睡眠と覚醒の調節を行う「メラトニン」と呼ばれる物質を摂取することが可能になります。

また、豆類やオートミールなどの食物繊維が豊富な食品や、必須アミノ酸である「トリプトファン」を多く含む、鶏肉などの食品も質の高い睡眠に関連していると考えられています。同様に、マグネシウムやビタミンD、鉄、オメガ3脂肪酸、マンガンなどを豊富に含むサーモンは、睡眠の質の向上に非常に有益とのこと。

一方で、ハンバーガーやフライドポテト、加工食品に含まれる飽和脂肪酸は、体の回復に最も効果的と考えられる徐波睡眠」の時間を短くする可能性が指摘されています。


また、白パンやパスタなどの炭水化物は、体内ですぐに代謝されます。そのため、夕食にこれらの食品を食べると、空腹で目を覚ましてしまう可能性があることが判明しています。

さらに、アルコールは鎮静作用により、眠りにつきやすくする性質を持ちますが、眠りに落ちてすぐのレム睡眠の時間を短くするため、結果的に睡眠パターンが乱れ、夜間の覚醒が多くなってしまいます。そのため、アルコールは睡眠の質を低下させることが指摘されています。

加えて、就寝前にカフェインを摂取すると、眠気を促進するホルモンである「アデノシン」の働きが阻害され、眠りにつきにくくなります。


他にも、カロリーを継続的に過剰摂取することは、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の要因の一つである体重増加につながるため、避けるべきだとヤンセン氏は指摘しました。

また、ヤンセン氏の研究チームは殺虫剤や水銀、フタル酸エステルなど、食品包装用プラスチックの製造に使用される化学物質が睡眠に影響を与えることを報告しています。これらの化学物質は一般的に「健康食品」と呼ばれる食品にも含まれている可能性があるため、一部の食品には睡眠に有益な成分と有害な成分の両方が含まれていることが示唆されました。

結論としてヤンセン氏は、1日を通して健康的な食事を取ることを心掛け、就寝前の2~3時間はカフェインやアルコール、カロリーの多い食事を避け、光を発するディスプレイから離れるなど、適切な睡眠衛生習慣を続けることを推奨しています。

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in サイエンス,   , Posted by log1r_ut

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