「食べる時間」を制限するダイエットはカロリー制限とほぼ同じ減量効果があることが判明
ダイエットの主流な方法は、食事のカロリーを計算して目標以上のエネルギーを摂取しないようにするカロリー制限です。しかし、どんな料理にどれだけのカロリーが含まれているのかを覚えて記録を付けるのは大変なので、計算ミスが発生したり三日坊主に終わってしまったりすることもしばしばです。これに比べてよりシンプルな、1日の決まった時間枠の中で食事をとる「時間制限ダイエット」には、カロリー制限とほぼ同じ効果があることが実験で示されました。
Time-Restricted Eating Without Calorie Counting for Weight Loss in a Racially Diverse Population: A Randomized Controlled Trial: Annals of Internal Medicine: Vol 176, No 7
https://doi.org/10.7326/M23-0052
Intermittent fasting and calorie counting about equal for weight loss – new study
https://theconversation.com/intermittent-fasting-and-calorie-counting-about-equal-for-weight-loss-new-study-208254
イリノイ大学シカゴ校の研究者らは、人気が高まりつつある食事法である「Time-Restricted Eating(食事時間制限)」の長期的な有効性を評価するため、18~65歳の肥満の成人90人を集めて1年間の実験を行いました。
実験の参加者は、カロリー計算をしない代わりに食事ができる時間を12時から20時までの8時間に限定する「食事時間制限グループ」、食事内容を細かくチェックして1日の摂取カロリーを25%抑制する「カロリー制限グループ」、それまで通りの食事を続ける「対照グループ」の3グループに無作為に分けられ、6カ月間決められた食生活を続けました。その結果、どちらの制限グループも体重が約5%減りました。
半年後、研究チームは各グループの制限を緩和させてから改めて6カ月間実験を行いました。具体的には、「食事時間制限グループ」の食事時間は10時から20時までの10時間に延長され、「カロリー制限グループ」の摂取カロリーは標準的な摂取カロリーと同じ量まで引き上げられました。
合計1年間の実験期間後に体重を測定したところ、どちらの実験グループの参加者も体重が実験開始前から4%減少しており、どちらも同じ減量効果が得られることが確かめられました。参加者らは、体重だけでなくウエストや脂肪量も計測されましたが、両グループでほぼ同様に改善していたとのことです。
論文の解説記事を学術系メディア・The Conversationに寄稿したノッティンガム・トレント大学のデビッド・クレイトン氏は、「この研究結果は、摂取カロリーを制限しなくても、時間を制限すれば体重が減らせることを示しています」と述べました。
体重は減らせた一方で、インスリンやコレステロール値といった指標の改善はどのグループでも見られませんでしたが、2023年に発表された別の研究では、8時から16時までという早い時間帯での時間制限を行うことで、血糖調節機能が改善できることが実証されています。
同様の結果は、食事を早めかつ10時間以内の時間枠で摂取した研究でも報告されています。
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カロリーを摂取する時間によって差が出る理由はわかっていませんが、遅い時間の食事を避けることが減量効果に影響することから、クレイトン氏は「1日の早い時間の方が代謝が効率的で、自然な覚醒と睡眠のパターンに合っているのではないでしょうか。つまり、1日の早い時間に栄養素を摂取すると、体がうまくそれを利用できる可能性があるということです」と述べています。
イリノイ大学シカゴ校の研究ではまた、カロリー制限や食事時間制限だけでなく、食生活の質を心がけることも重要であることが改めて示されました。というのも、どちらのグループの参加者も、実験期間中に健康的な食事の指導や衝動的な食事を減らすための認知行動療法を受けており、これらのサポートが制限緩和後のリバウンドを抑制していた可能性が考えられるからです。
さらに、各グループの参加者における体重の減少量には個人差がかなりあったことから、ダイエットには摂取カロリーや食事をする時間以外にも何らかの要因があることも示唆されています。少しずつ明らかになっていく食事と減量の関係について、クレイトン氏は「ダイエットはどんな方法を使っても難しいものです。今回の新しい研究は断続的な断食、つまり食事の時間の制限により減量が達成できることを示唆していますが、中には他の人より減量効果が高い人もいます。その理由は、これまでのところはっきりとはわかりません」と述べました。
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