自動車についていた「説明書にも記載されていない謎のボタン」の正体とは?
車にはライトや各種運転サポート機能、空調関係やオーディオ関係、カーナビ操作など、いろいろなボタンやスイッチが搭載されていますが、すべてを使わなくても運転できるので、中には何の役割があるのか把握していないスイッチがあるという人もいるはず。オランダのソフトウェアエンジニアであるコーエン・ファン・ホーベ氏は、購入した車に「説明書にも記載されていない謎のボタン」があったことから、その正体を徹底的に調査し、結果をブログで報告しています。
What does this button do?
https://blog.koenvh.nl/what-does-this-button-do-cm42u2oi7000a09l42f54g2pr
ファン・ホーベ氏は12年にわたりプジョー・107に乗ってきましたが、「燃費の悪化」「ブレーキが理由もなくロックされる」「風量を『高』にすると排気ガスが車内に入ってくる」といった問題が増え、いつか高額な修理が必要になるだろうと予見して車を買い替えることにしました。
さまざまな車を検討した結果、ファン・ホーベ氏は2020年製のオペル・コルサを中古で購入することにしました。以下の写真の左に写っているのが、ファン・ホーベ氏が購入したコルサです。
これまで乗っていたプジョーとは異なりコルサにはさまざまなボタンが付いており、ファン・ホーベ氏は取扱説明書をすべて読んでボタンの機能を把握することにしました。ところが、1つだけ取扱説明書にも記載されていない「用途不明の謎のボタン」があることに気が付いたとのこと。
以下の写真で、赤枠で囲われているのが「謎のボタン」です。ボタンは赤く点灯していて、押すとボタンの光が消えるほかには何の変化もありません。
ボタンがどこに接続されているのかを調べてみると、ペダル位置・温度・ライト・回転数・速度といった車両データを取得するOBD2ポートに接続されており、車両から何らかのデータを取得していることがわかりました。しかし、それ以上詳しく知るには車を分解しなくてはならず、自分の手で正体を突き止めることはできませんでした。
次にファン・ホーベ氏は、エンジンをかけるとこのボタンからノイズが聞こえることに気がつきました。ノイズは以下のような音であり、このボタンが車両から得たデータをどこかに送信している可能性が浮上したとのこと。
That sound your old pc speaker does when you receive a phone call - YouTube
近年の車両には、さまざまなデータを収集・送信し、アプリなどで状態を確認できる機能が搭載されているのが一般的です。しかし、このボタンについてファン・ホーベ氏は何も知らず、データの送信を許可したこともありませんでした。
ファン・ホーベ氏がディーラーや以前にメンテナンスした企業に電話したところ、どの担当者もこのボタンを取り付けた覚えはなく、「イモビライザーではないか」「GPSトラッカーではないか」といった返答があるだけでした。そこでファン・ホーベ氏は購入したディーラーに車を持っていき、実際にメカニックに依頼してボタンの正体を探ってもらいました。
その結果、ボタンはかつてコルサを所有していた企業が、「どの従業員が車を運転しているのか」を車両トラッカーに登録するためのものだったことが判明。車に搭載されたデバイスを介して従業員情報を車両マネージャーに送信することで、どの従業員がどのように車を運転したのかを追跡できるというわけです。しかし、ボタンにイモビライザーやその他の機能があるのかや、なぜボタンなのかといった謎は解決できなかったとのこと。
ファン・ホーベ氏にとってこのボタンや追跡装置はまったく必要ないことが判明したので、すぐに装置一式は取り外されたとのこと。今回、たまたまボタンについて調べたため一連の事態が明らかになりましたが、何も気付かずデータ収集装置が付いたまま運転しているドライバーも多いだろうとファン・ホーベ氏は述べました。
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