サイエンス

探検家がGoogle Earthを眺めていたところ地面に謎の痕を発見、専門家が現地調査し「記録になかった現象」が発生していたことが明らかに


世界中の衛星写真を見ることができる「Google Earth」は、スマートフォンやPCでお手軽に世界探検ができるツールとして親しまれています。そんなGoogle Earthを眺めていた洞窟探検家が、人知れず発生していた気象現象を発見したことが明らかになりました。

CSIRO PUBLISHING | Journal of Southern Hemisphere Earth Systems Science
https://www.publish.csiro.au/ES/ES24023


A man scouring Google Earth found a mysterious scar in the Australian outback – and now scientists know what caused it
https://theconversation.com/a-man-scouring-google-earth-found-a-mysterious-scar-in-the-australian-outback-and-now-scientists-know-what-caused-it-239867

2024年の始め、とある洞窟探検家がカルスト地形や洞窟を探してオーストラリアにあるナラボー平原の衛星写真をじっくり眺めていたとき、石と砂だらけの不毛の大地に謎めいた痕跡があることを発見しました。それは地面を筆でなぞったような一筋の跡で、西オーストラリア州から国境を越えて南オーストラリア州まで広がる、長さ約11kmにもおよぶ巨大なものでした。


この痕跡の発見は、カルスト研究者や探検家のネットワークを通じ、オーストラリア・カーティン大学地球惑星科学部のマテイ・リパール研究員に伝わったとのこと。リパール氏と同僚がGoogle Earthを使って数年分の衛星画像を比較した結果、この跡が付いたのは2022年11月16日から18日の間であることが判明しました。

写真に浸水の跡があることなどから、リパール氏はこの痕跡を「竜巻によって発生したものだ」と推測。2024年5月に現地を訪れて調査したところ、単なる暴風雨ではなく時速200km以上の「破壊的な竜巻」が起こっていたことが明らかになったそうです。


この竜巻は藤田(F)スケールで言うところのF2またはF3相当の規模で、気象庁によるとF2は「住家の屋根がはぎとられ、弱い非住家は倒壊する。大木が倒れたり、ねじ切られる。自動車が道から吹き飛ばされ、汽車が脱線することがある」、F3は「壁が押し倒され住家が倒壊する。非住家はバラバラになって飛散し、鉄骨づくりでもつぶれる」というレベルの、相当な強さのものでした。

ただし、発生地は民家から遠く離れている場所であり、人命や家屋への被害はまったく発生していませんでした。それ故に発生したこと事態も誰にも気づかれておらず、今回の調査で初めてその存在が明らかになったそうです。


リパール氏によると、竜巻はおそらく7分から13分続いたと思われ、傷跡の特徴から竜巻の中で渦を巻いていた風は時計回りに動いており、また西から東に移動したと考えられるとのこと。竜巻の発生を裏付けるように、現地の気象観測でも同じ時期に集中的な雲と降雨が記録されていたといいます。

人里離れた土地で目撃者が少ないためか、ナラーバー平原で竜巻が報告されることはほとんどなく、記録では1982年(バラドニア地区)と1986年(フォレスト地区)、1997年(バルゲイル地区)の3回しか観測されていません。興味深いことに、これら3つの竜巻は今回と同じ11月に発生しているとのことです。


リパール氏は「ナラーバー平原における竜巻はあまり報告されていないため、今回の発見は特に重要です。また、Google Earthを使用したという事実は、従来の観測方法が制限されている遠隔地で気象現象を分析する際に衛星画像と気象データを活用することの重要性を強調しています。テクノロジーの力がなければ今回の自然の猛威は気づかれなかったでしょう。竜巻の余波を研究することは、次の大きな竜巻を予測し、それに備えるために重要です」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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