世界初の「16歳未満のSNS利用を禁止する法律」がオーストラリアで成立、X・TikTok・Instagramなどが対象でYouTubeは除外
オーストラリアのアンソニー・アルバニージー政権が成立に向けて注力していた、16歳未満のSNS利用を禁止する「2024年オンライン安全性改正法案(ソーシャルメディア最低年齢法案)」が、議会上院を通過して成立しました。法律として施行されるのは成立から12カ月以内です。
Social media reforms to protect our kids online pass Parliament | Prime Minister of Australia
https://www.pm.gov.au/media/social-media-reforms-protect-our-kids-online-pass-parliament
Children and teenagers under 16 to be banned from social media after parliament passes world-first laws - ABC News
https://www.abc.net.au/news/2024-11-28/social-media-age-ban-passes-parliament/104647138
Australia’s social media ban for children passes Senate
https://www.smh.com.au/politics/federal/the-38-bills-labor-wants-answers-on-in-just-one-day-20241128-p5ku7p.html
Australia bans world's first social media use by children younger than 16 - UPI.com
https://www.upi.com/Top_News/World-News/2024/11/28/Australia-social-media-ban-children/3001732802551/
本法案は「若者を守り、その親を助ける」ことを目的として、アルバニージー政権が成立を目指していたものです。
オーストラリアが16歳未満のSNS利用を禁止する見込み - GIGAZINE
SNSなどオンラインのサービスで子どもを守る施策はさまざまな形で打ち出されていますが、「16歳未満の子どもにSNSを使わせない」と法律で定めたのはオーストラリアが初の事例です。
規制対象となるSNSはXやTikTok、Instagram、Facebook、Snapchatなど。一方で「メッセージ交換やオンラインゲーム、教育や健康支援を主目的とするサービスやアプリへのアクセスは引き続き可能」とのことで、YouTubeやGoogle Classroom、Headspace、Kids Helplineなどが適用対象外となっています。
法律により、SNSの運営企業は「16歳未満のオーストラリア人がアカウントを持てないようにする」ために合理的な措置を講じる責任が発生します。もし対策が不十分だった場合、最大で4950万ドル(約48億4000万円)の罰金が科されます。
また、強力なプライバシー規定も盛り込まれており、年齢確認目的で収集したデータを正しく破棄しなかった場合も最高で4950万ドルの罰金が科されます。なお、年齢確認にあたってはデジタルIDを含む公式な身分証明書の提出をユーザーに強制できなくなるとのことで、運営企業には合理的な代替手段の提供も求められます。
法律の成立について、アルバニージー首相は「我々は子どもをオンラインで守るための重要な法律を可決しました。ソーシャルメディアは子どもたちに社会的な害を与えています。我々はこのことに終止符を打ちました。子どもたちには健やかな少年時代を過ごしてもらいたいし、親御さんには我々が支えになることを知ってもらいたいのです」と述べました。
アルバニージー政権で通信大臣を務めるミシェル・ローランド氏は「アルバニージー政権は、オンラインで子どもたちを守ることに断固として取り組んでおり、本法案の議会通過は取り組みを果たすための方法の1つにすぎません。我々はこの法律が若者の孤立化ではなく、保護することを重点に置いたものになるよう、若者や親、養育者、専門家、業界の声に耳を傾けてきました。優れた政府は、困難な改革に立ち向かうものです。この法律が奇抜なものであることは承知していますが、何もしないという選択肢はありません。これから1年間、進行中の年齢確認技術試験の結果に基づいて、業界や専門家と緊密に連携し、年齢制限が効果的に実装されるよう取り組んでいきます」と述べています。
なお、満場一致での成立というわけではなく、世論調査では法案に賛成だった人はオーストラリア人の77%だったとのことで、政権与党・労働党のカレン・グロガン上院議員は「法制化は必要なツールですが、万能薬ではありません」という慎重な意見を述べています。
規制対象となるSNS側も法案には反対の立場を取っており、Xのイーロン・マスク氏は「未成年が広く利用しているわけではない」と反応。また、Metaは「年齢確認技術試験の結果を待つことを『強く』推奨します」と反応したとのことです。
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