世界のノートPC出荷台数は長い低迷を抜け出して2025年に4.9%増加すると予想、一方でトランプ次期大統領の悪影響も
台湾の調査会社であるTrendForceの予測によると、2024年の世界のノートPC市場は緩やかなペースで回復していき、2024年、2025年と右肩上がりになっていくと見られています。AI搭載ノートPCがノートPC市場に影響を与えると考えるアナリストがいる一方で、TrendForceはAI搭載ノートPCの影響を否定し、市場成長見込みの理由を解説しています。
Global Notebook Shipments Expected to Grow by 4.9% in 2025, Business Demand Emerges as a Key Driver, Says TrendForce
https://www.trendforce.com/presscenter/news/20241125-12376.html
PC市場は2020年ごろから縮小傾向にあり、2023年第1四半期には前年同期比28.7%減で史上最低を記録しました。原因としては、新型コロナウイルスのパンデミックに伴う不況が長く影響していると考えられていました。一方で、市場調査会社・IDCのレポートによると、2024年第1四半期の世界のPC市場はインフレの落ち着きなどを背景に、低迷を脱して成長に転じたとのこと。
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ノートPC市場も世界的なレイオフや経済・政治不安により企業による購入、個人による購入ともに低迷が続いており、より慎重な需要が見込まれていました。しかし、TrendForceによると、長年続いたマイナス要因が沈静化し、金利引き下げにより資本の流動性が改善されるにつれて、ノートPC市場は2025年に回復し、商業用ノートPCの年間出荷成長率は7%を超えると予想されるそうです。
また消費者市場では、2024年には積極的なプロモーションによってエントリーモデルが売上を伸ばしたり、ブランドが高価値で高利益率のモデルに焦点を当てたりと、消費者市場がより安定するとTrendForceは予測しています。消費者向けノートPCの出荷成長率の予測は3%と商用市場よりも鈍化が見込まれていますが、企業が提供する製品や製品ラインの組み合わせを示す「プロダクトミックス」は大幅に最適化され、市場成長に影響を与えるとTrendForceは指摘しました。
以下は、TrendForceが示したノートPC出荷台数のグラフ。緑が出荷台数で、赤が前年比、2024年は見込み値で2025年は予測値です。グラフでは、2024年には最低に落ち込んだ2023年から3.9%増加し、2025年にはさらに4.9%増加した1億8260万台にのぼると予測されています。
ノートPC市場が回復する大きな要因と考えられているのが、Windows 10のサービス終了です。Windows 10のサポート終了は2025年10月14日までと決定済みのため、特に商用デバイスでアップグレード需要が大規模に見込めると考えられています。
また、ノートPC市場の変化は、アメリカの大統領選でドナルド・トランプ氏が当選したことに影響を受けるとも考えられています。トランプ氏は「アメリカ第一主義」政策を掲げており、輸入関税引き上げを宣言しています。これにより、アメリカの国内ノートPC市場には悪影響を及ぼし、市場成長率を鈍化させる可能性があるとTrendForceは警告を述べています。
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