生成AIの発達によって毎年大量の電子ごみが生み出されるという指摘
近年は生成AIの急速な発展に伴い、データセンターの消費電力が急増していることが問題視されています。学術誌のNature Computational Scienceに掲載された新たな研究では、AIの台頭が消費電力だけでなく、ストレージやGPUといった電子ごみの増加も引き起こしていることが指摘されました。
E-waste challenges of generative artificial intelligence | Nature Computational Science
https://www.nature.com/articles/s43588-024-00712-6
Generative AI Could Generate Millions More Tons of E-Waste by 2030 | Scientific American
https://www.scientificamerican.com/article/generative-ai-could-generate-millions-more-tons-of-e-waste-by-2030/
Generative AI could generate millions of tons of e-waste by decade's end, study finds
https://techxplore.com/news/2024-10-generative-ai-generate-millions-tons.html
生成AIの台頭による電力需要の急増は以前から問題となっており、「世界のデータセンターが消費する電力は2026年までに日本の消費電力に匹敵する」との予測が、国際エネルギー機関(IEA)によって発表されています。すでにアメリカでは、GoogleやMetaのデータセンターが消費する電力が多すぎるため、閉鎖予定だった石炭火力発電所の稼働を続けざるを得ない状況となったケースも報告されています。
新たに、中国科学院城市環境研究所とイスラエル・ライヒマン大学の研究チームは、生成AIが電子ごみに及ぼす影響を試算する研究を行いました。研究チームは論文で、「生成AIはモデルのトレーニングと推論にかなりの計算リソースを必要としますが、生成AIとその管理戦略がもたらす電子ごみへの影響については、まだ十分に検討されていません」と述べています。
生成AIの実行には、物理的なデータストレージデバイスに加えて、計算を処理するために膨大な数のGPUやその他の高性能コンポーネントが用いられます。これらのハードウェアは一般的に2~5年ほど使用できますが、多くの場合は新しいモデルが登場すると置き換えられ、古いモデルは廃棄されてしまうとのこと。
研究チームは生成AIによって生み出される電子ごみの量を推定するため、生成AIの実行に使用されるハードウェアの種類や量、使用される期間、生成AIセクターの成長率を予測しました。
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