毒性が認められ一部の製品への使用は禁止されている着色料「赤色3号」がいまだに食品には使われている理由とは?
着色料は食べ物の色を鮮やかにしておいしそうに見せる効果がある一方で、一部の着色料は長期間にわたり摂取し続けると腸疾患を誘発する可能性があるなど、毒性が認められて特定の製品に使わないように注意喚起されることもあります。赤色に着色することのできるエリスロシン、通称「赤色3号」は、日本では食品添加物としての使用が認められていますが、一部の国では使用禁止となっています。アメリカでも化粧品や外用薬への使用が禁止されているにもかかわらず食品へは使用されており、その理由や安全性についてオンラインメディアのVoxがムービーにまとめています。
Why Red 3 is still in your candy - YouTube
赤色3号は、マウスに対して経口投与した実験でマウスの成長に悪影響を与えたことが判明したり、大量に与えた場合に甲状腺腫瘍が発生したという報告があったりと、有毒さを報告する研究がいくつか見られます。しかし、日本の厚生労働省はエリスロシンを「天然に存在しない添加物」に分類していますが、食品添加物としての使用を認めています。同様に、アメリカでもアメリカ食品医薬品局(FDA)が認める広範な使用が承認された7種類の合成着色料に赤色3号は含まれています。ただし、FDAは1990年から赤色3号の化粧品への使用を禁止しており、ほかの承認された着色料に比べると使用が制限されています。
Voxは赤色3号の使用について、健康的な食品の推進に取り組む公益科学センターの首席研究者であるトーマス・ギャリガン氏に話を聞いています。
赤色3号が化粧品では使用禁止なのに食品では使用可能な曖昧さについては、歴史に原因があります。1950年のハロウィンで、お菓子に含まれるオレンジの着色料が原因で大規模な食中毒が発生しました。それを受けて1958年に食品添加物修正条項、1960年には着色添加物修正条項という2つの法律が可決されました。これらの法律は、着色添加剤の安全性を評価することをFDAに義務付けるというもの。
そのため、法律の制定以前から使われていた赤色3号などの着色料は、1960年代までに再承認が行われました。そこから20年後に化粧品業界はFDAに対し、「赤色3号を化粧品や局所用医薬品に使用することを恒久的に承認してほしい」と要求したため、承認済みの赤色3号について再度研究が実施されます。結果、ラットに投与した赤色3号が甲状腺ガンを発症するリスクをわずかに増加させた可能性があることから、1990年にFDAは化粧品と薬品に関する申請を却下しました。
化粧品と薬品に関する検査からガンの発症リスクが発見されたことで、食品添加物修正条項に従って、食品での使用も禁止すると当時のFDAは発表しています。しかし、そこから34年経過した現在まで、FDAはまだ何ら規制に動いていないとギャリガン氏は指摘。VoxがFDAに直接問い合わせたところ、「現在多忙のためインタビューを受けられない」とだけ回答があったそうです。
ただし、直接の応答ができない代わりに、FDAの広報担当者からのメールにはFDAのColor Additives(着色料添加物)に関するページへのリンクが含まれていました。このページによると、ラットを用いた赤色3号の甲状腺ガンリスクに関する研究は、人間への関連性が限られているとFDAは見解を示しています。
ギャリガン氏は「赤色3号は、1958年の食品添加物修正条項で、『いかなる量であっても発ガン物質を含む物質を食品に使用してはならない』と定めた『デラニー条項』に違反しているにもかかわらず、FDAが赤色3号について問題ないと判断している理由が私には理解できません」と語っています。公益科学センターは赤色3号を食品で禁止するように2022年に嘆願書をFDAへ提出していますが、そこから2年経過しても「見直し中」のまま進展していないそうです。
赤色3号を食品から取り除こうとする動きは他にも見られています。カリフォルニア州は2023年10月に、「2027年までに州内の食品で赤色3号を禁止する」という法案に署名しました。カリフォルニア州の決定には、ラットを用いた研究だけではなく、合成着色料と子どもの行動障害の相関関係を発見した25件の研究をまとめた総合的な判断が含まれています。過去に赤色3号が承認された研究には、行動障害に関する観点が含まれておらず、その点でも時代遅れな点があるとギャリガン氏は述べています。
ギャリガン氏は「合成着色料は、食べ物の味を変える効果も保存しておく効果もなく、純粋に食品業界のマーケティングツールとして存在します。一連の議論や研究は、これらの食用色素は食事として必要ないということを覚えておくことが非常に重要だと思います」と語りました。
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