サイエンス

合成着色料「赤色40号(アルラレッドAC)」が大腸炎に関係しているという実験結果が発表される


清涼飲料水や駄菓子を赤色に着色するために多く用いられる合成着色料「赤色40号(アルラレッドAC)」は、長期に摂取すると腸疾患を誘発する可能性があるとマウスの実験で明らかになりました。

Chronic exposure to synthetic food colorant Allura Red AC promotes susceptibility to experimental colitis via intestinal serotonin in mice | Nature Communications
https://doi.org/10.1038/s41467-022-35309-y

アルラレッドAC(通称、赤色40号)とは、工業製品の着色用途や食品添加物として使用されます。2007年にはイギリスの食品基準庁が、一部の障害を持つ子どもは赤色40号の接種に注意が必要として、メーカーが自主規制するよう勧告を行っています。一方で、欧州食品安全機関(EFSA)は赤色40号やその他の食品添加物の影響が不明であるとし、食品への扱いについて意見が分かれています。赤色40号は食紅としてAmazonでも購入することができます。

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これまでの研究で、赤色40号にはマウスの肝臓および腎臓の酸化ストレスを促進し、炎症を促進させていることが判明していました。一方で、赤色40号と腸の炎症との関係についてはあまり研究されていなかったとのこと。新たにNature Communicationsに掲載された論文では、マウスのエサに継続的に赤色40号を加えることで、大腸炎発症リスクが高まることが観察されました。

実験では、ヒトの食品における一般的な含有率と同程度の赤色40号を加えたエサをマウスに与える観察を、毎日継続的に長期間行うことで、継続的な接種による影響を観察しています。結果として、赤色40号が含まれたエサを14週間摂取したマウスのうち数匹が、軽度の腸の炎症を引き起こしたことを研究者たちは示しています。また、炎症性腸疾患を抱えていたマウスは、赤色40号を長期間摂取することで、大腸炎を発症する確率が高くなることも分かりました。一方で、毎日ではなく1週間に1回赤色40号を摂取する食事を12週間続けた場合は、大腸炎への影響がほとんど見られなかったとのこと。


そのほか、幼少期に赤色40号を摂取すると成長後に大腸炎に発症する可能性が高くなることや、腸の炎症はセロトニンによって重症度が高まっていることなどが対照実験で判明しています。

研究者たちは、食事に含まれる合成着色料を「危険因子」として警告しつつも、マウスへの影響が確認された「毎日赤色40号を摂取する食事を長期間続ける」という状況が、ヒトの日々の食事では起こりにくい状況であると指摘しています。また、赤色40号が腸の炎症に与える影響が確認されたのはマウスによる実験であり、ヒトにも同様の効果が見られるかどうかについては不明であるため、論文の末尾で「多くの業界での使用の精査を促すだけでなく、健康への悪影響を防ぐための一般の意識を高めることにもなります」と述べてさらなる研究の重要度を示しています。

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in サイエンス,   , Posted by log1e_dh

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