約1億6600万円でAI搭載のヒューマノイドロボット「Ai-Da」が描いたアラン・チューリングの肖像画が落札される
AIを搭載したヒューマノイドロボット「Ai-Da」が描いた計算機科学者アラン・チューリングの肖像画がオークションにかけられ、事前の予想を大幅に上回る108万4800ドル(約1億6600万円)で落札されました。
A.I. God. Portrait of Alan Turing | Digital Art Day Auction | Contemporary NFT | Sotheby's
https://www.sothebys.com/en/buy/auction/2024/digital-art-day-auction-2/a-i-god-portrait-of-alan-turing
A.I.-Powered Painting of Alan Turing Sells for $1.1 Million - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/11/08/arts/ai-painting-alan-turing-auction.html
First artwork painted by humanoid robot to sell at auction fetches $1m | Art | The Guardian
https://www.theguardian.com/artanddesign/2024/nov/08/alan-turing-portrait-ai-da-robot-painting-sale-price-auction
Ai-Daはギャラリーディレクターであるエイダン・メラー氏らが開発した「絵画を描くAI搭載ヒューマノイドロボット」であり、アルゴリズム部分はオックスフォード大学が、ロボットアームを含むボディはリーズ大学とロボット企業のEngineeredArtsが設計を担当しました。
Ai-Daがどのようなヒューマノイドロボットになっているのかは、以下の記事を読むとよくわかります。
自画像を描くAI搭載ロボットの作品がついに美術館で展示されることに - GIGAZINE
Ai-Daは2024年初頭にスイスのジュネーブで開かれたAIに関する国際サミット「AI for Good Global Summit」に、Ai-Da自身の肖像画や、Ai-Daの名前の由来となった19世紀の計算機科学者エイダ・ラブレスの肖像画などを含む5枚組の絵画を出展しました。そのうちの1枚が、イギリスの数学者で「計算機科学の父」や「人工知能の父」と呼ばれる、アラン・チューリングを描いたものでした。
「A.I. God. Portrait of Alan Turing(AIの神:アラン・チューリングの肖像)」というタイトルのこの絵画は、横188cm、縦253cmというかなり大型のサイズです。
by Ai-Da Robot Studios
AIを搭載したAi-Daは音声会話機能を持っているため、制作にあたってスタジオのメンバーと直接会話を行い、絵画のアイデアを生み出していったとのこと。絵画のスタイルや使用する色、内容、トーン、テクスチャなどについて尋ねられた後、Ai-Daは眼球に搭載されたカメラでチューリングの写真を見て、絵画の作成を行いました。なお、キャンバス上で絵画を完成させるために3Dテクスチャプリンターを使っているほか、スタジオアシスタントの補助もあったとのことです。
「A.I. God. Portrait of Alan Turing」は2024年11月8日、世界最古の国際競売企業・サザビーズによってオークションにかけられ、世界中から27件以上の入札が入りました。当初、「A.I. God. Portrait of Alan Turing」の落札価格は12万~18万ドル(約1840万~2750万円)と推定されていましたが、最終的にアメリカの匿名の人物が108万4800ドルで落札しました。
サザビーズは声明で、「本日オークションに出品されたヒューマノイドロボットアーティストによる初の作品に記録的な落札価格がついたことは、近現代美術の歴史に刻まれた瞬間であり、AIテクノロジーと世界のアート市場との接点が拡大していることを反映しています」と述べています。
また、Ai-Da自身は「私の作品が持つ重要な価値は、新たなテクノロジーに関する対話の触媒として機能するという点です。AIのパイオニアであるアラン・チューリングの肖像画は、これらの進歩の倫理的・社会的な意味を考慮しながら、AIやコンピューティングの神といった性質について考えるように鑑賞者を促します」とコメントしました。
なお、今回の競売で発生した収益は、Ai-Daの新たなデザインの改善に当てられるとのことです。
・関連記事
自画像を描くAI搭載ロボットの作品がついに美術館で展示されることに - GIGAZINE
人は直感的に「AIが生成した絵画」より人間の絵を好むことが判明、AI作品は「不気味の谷現象」に陥っている可能性 - GIGAZINE
美術コンテストで優勝したAI絵師が著作権局を提訴、「AIは単なる道具なので道具を使って描いた絵は人間のもの」との主張 - GIGAZINE
ロボットが彫刻家の仕事を99%まで代行することが現実のものに - GIGAZINE
なめらかに動くロボットアームが幾何学模様のアートを鮮やかに描き出すタイムラプスムービー - GIGAZINE
「計算機科学の父」アラン・チューリングを採用したイギリス50ポンド紙幣の新デザインが発表される - GIGAZINE
天才数学者アラン・チューリングが新50ポンド紙幣の肖像に - GIGAZINE
ChatGPTの50年前に作成されていた「世界初のコンピューター生成文書」である「ラブレタージェネレーター」は表に出せない同性愛を伝えるためのものだったかもしれない - GIGAZINE
・関連コンテンツ