7テスラのMRIで生体外脳組織標本の高解像度データセットを生成、皮質領域の区分化にも成功
ペンシルバニア大学の研究チームが、7テスラという高磁場で高解像度が得られるMRIを用いて、生体外のヒトの脳組織標本135点をスキャンし、高解像度データセットを作成したことを報告しました。チームは、深層学習パイプラインを用いての区分化も行っています。
Postmortem ex vivo MRI at 7 tesla
https://pulkit-khandelwal.github.io/exvivo-brain-upenn/
※リンク先にはスキャン元の脳画像があります
Automated deep learning segmentation of high-resolution 7 Tesla postmortem MRI for quantitative analysis of structure-pathology correlations in neurodegenerative diseases | Imaging Neuroscience | MIT Press
https://direct.mit.edu/imag/article/doi/10.1162/imag_a_00171/120741
Postmortem human brain at 7 tesla MRI - YouTube
生体外MRIは、生体内MRIに比べて脳構造を高解像度で精査でき、病理学的測定値と形態測定値を結びつけられるという利点がありますが、生体外MRIの脳マッピングのための自動区分は、データセット不足やスキャンハードウェアと収集プロトコルの不均一性などの理由で十分な開発が行われてきませんでした。
ペンシルベニア大学の研究チームは、高磁場で高解像度画像が得られる7テスラのMRIを用いて、生体外のヒトの脳組織標本135件をスキャンし、高解像度のデータセットを作成しました。
また、皮質領域を区分化する深層学習パイプラインを開発。さらに、4つの皮質下構造も区分化することに成功しました。
このパイプラインは、異なる試料の全脳半球で優れた汎用性を示し、また、異なる磁場強度や異なる撮像シーケンスで得られた未知の画像にも対応できたとのこと。
コードやコンテナ化された実行ファイル、処理されたデータセットはGitHubで公開されています。
GitHub - Pulkit-Khandelwal/purple-mri: Penn Utilities for Registration and ParcelLation of Ex vivo MRI
https://github.com/Pulkit-Khandelwal/purple-mri
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