ユークリッド宇宙望遠鏡が作成した宇宙地図の「最初の1%」が公開される、600倍に拡大して銀河を調査可能
欧州宇宙機関(ESA)のジョセフ・アッシュバッハー長官とキャロル・マンデル科学局長が2024年10月15日、イタリア・ミラノで開催された国際宇宙会議で、ESAのユークリッド宇宙望遠鏡が作成した宇宙地図の「最初の1%」を公開しました。
ESA - Zoom into the first page of ESA Euclid’s great cosmic atlas
https://www.esa.int/Science_Exploration/Space_Science/Euclid/Zoom_into_the_first_page_of_ESA_Euclid_s_great_cosmic_atlas
Euclid’s 208-Gigapixel glimpse into the Universe - YouTube
ESAが2023年7月に打ち上げたユークリッド宇宙望遠鏡は、宇宙の質量の25%を占めているとされるダークマターの理解を深めることを目的としています。
以下の図でオレンジ色に塗られた部分が、ユークリッド宇宙望遠鏡が観測する予定の範囲を示しています。ユークリッド宇宙望遠鏡は6年間にわたるミッション期間中に、中央にある天の川銀河を避けるようにして全天の約3分の1を観測する予定です。
そんなユークリッド宇宙望遠鏡が作成した宇宙地図の一部が、10月15日に初めて公開されました。公開されたのは、以下の図で薄いオレンジ色で示されている範囲です。
2週間にわたる観測で、ユークリッド宇宙望遠鏡は予定されている範囲の1%を観測することに成功しました。
モザイク状になった宇宙地図は、2024年3月25日から4月8日の間に行われた260回の観測結果をつなぎ合わせたもの。南の空のおよそ132平方度をカバーしており、地球から見た際の面積は満月の500倍以上に相当します。
公開された範囲だけでも208ギガピクセルもの解像度を誇っており、ズームして細かく調査することも可能。3倍にズームするとこんな感じ。
12倍にズームするとこんな感じ。渦巻銀河のNGS 2188や銀河団のAbell 3381などが見えています。
36倍にズームして、Abell 3381の中心部分を拡大しました。大小さまざまな銀河の色や形がよくわかります。
150倍まで拡大すると、銀河を取り巻く円盤の形まで確認できるようになりました。ここに写っている銀河は地球から420万光年離れた場所にあるとのこと。
600倍まで拡大するとこんな感じ。
ESAのユークリッドプロジェクトに携わるヴァレリア・ペトリノ氏は、「この見事な地図は、6年後に全天の3分の1以上を明らかにする地図の最初の一部分です。これは地図のわずか1%に過ぎませんが、科学者が宇宙を記述する新しい方法の発見に役立つさまざまな情報に満ちています」と述べました。
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