サイエンス

衝突し合体する直前の2つのブラックホールの観測に成功、「銀河形成史がまた1ページ」か


国立天文台の研究グループが、衝突直前の2つのブラックホールの観測に成功したそうで、その写真が公開されています。

このような衝突直前のブラックホールが存在することを示唆する観測に成功したのは世界初だとのことで、この観測結果は、銀河と銀河の衝突が幾度も繰り返され、その最終段階として巨大楕円銀河が生まれるという銀河形成史の仮説を支持するものであり、最も壮大な自然現象のうちの1つを初めて観測することに成功したということだそうです。

詳細は以下から。
国立天文台PR:衝突する直前の双子のブラックホールを発見

今回、衝突直前のブラックホールの観測に成功したのは国立天文台ALMA推進室の井口聖准教授が率いる研究グループ。


このグループは2003年に巨大楕円銀河・電波銀河3C66Bの中心核の公転運動の観測により、この銀河の中心に2つのブラックホールが存在することを世界で初めて発見しました。その後、さらに詳細な観測を実施した結果、2つのブラックホールはあと500年ほどで衝突する状態であることがわかりました。このような観測に成功したのもまた、世界初だそうです。

これが巨大楕円銀河・電波銀河3C66B。写真は米国国立電波天文台(NRAO/AUI)によるもの。


その中央で見つかったのが、あと500年で衝突するという2つのブラックホール。国立天文台(NAOJ)による画像です。


衝突して合体する直前の2つのブラックホールが発見されたというのは、銀河同士が幾度も衝突して最終的に巨大楕円銀河が誕生すると考えられている銀河形成史の仮説を支持するもの。

今後、さらに高精度の観測を実施し合体直前のブラックホールの振る舞いを調べることで、超巨大ブラックホール誕生の仕組みや、超巨大ブラックホール誕生の過程で放射されると言われている重力波との関係を解明していくとのことです。

この内容は12月1日に発行される天体物理学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レター」に掲載されるとのこと。

記事中画像提供:国立天文台

追記:
衝突しそうなブラックホールについて、「写真」ではなく「画像」であるということで表記を修正しました。

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in サイエンス, Posted by logc_nt

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