サイエンス

「人の性格は不変ではなく意識して変えることができる」と心理学者が主張


世の中にはさまざまな性格診断テストがあふれており、その結果を見て「自分は悲観的な性格だ」「もっと明るくて社交的な性格になりたかった」などと一喜一憂したことがあるという人もいるはず。多くの人々は「性格はなかなか変わるものではない」と考えていますが、アメリカのケンタッキー大学で心理学准教授を務めるシャノン・ザウアー・ザヴァラ氏は、「人は自分の性格を意識して変えることができる」と主張しています。

Can you change your personality? Psychology research says yes, by tweaking what you think and do
https://theconversation.com/can-you-change-your-personality-psychology-research-says-yes-by-tweaking-what-you-think-and-do-237190


SNSなどで流れてくる「性格診断テスト」には科学的な根拠が乏しいことは、多くの人がわかっているかもしれません。ザヴァラ氏によると、教育やキャリアの選択に使われるような商業的な性格診断テストであってもほとんどが研究によって裏付けられておらず、将来的なキャリアの成功を予測するものではないとのこと。

さらにザヴァラ氏は、「性格を理解するための最も一般的なアプローチには科学的な裏付けがないだけでなく、『人の特性が固定的なものであり、生まれつきの性格から抜け出せない』と仮定しているという問題があります。しかし、現代の性格科学研究では、特性は時間の経過と共に変化しうるものであり、また実際に変化していることがわかっています」と述べました。

臨床心理士としても活動しているザヴァラ氏は、自分自身が怠惰な性格から誠実な性格へと変化していっただけでなく、患者の性格が変わっていく様子も確認しているとのこと。「人々は人生で自分が望む成功を得るために、必要な特性を意図的に形作ることができます。これは、自分の性格を型にはめて、その特徴に従ってパートナーや活動、キャリアを選ぶよう指示するという一般的な考えとは正反対です」と、ザヴァラ氏は主張しています。


性格とは「考え方・感じ方・行動の特徴」であり、言い換えれば「人生について悲観的に考える方か」「タクシー待ちの列に割り込まれた時に怒るのか、それとも何か事情があったのだろうと考えるのか」「タスクは〆切ギリギリまで先延ばしするタイプか、それともコツコツ進めて終わらせるタイプか」といった質問の回答をラベル付けしたものです。

研究者は1930年代から人間の性質を表すさまざまな単語をカテゴリごとに分類し始めており、1940年には5つの大まかな分類が形作られ、それが後のビッグファイブ性格特性となりました。現代で広く使われているビッグファイブ性格特性は、人を「開放性」「誠実性」「外向性」「協調性」「神経症傾向」の5つのタイプに分類します。

多くの人々は性格を「自分自身の核」のようなものだと認識しており、性格が変わってしまえば元の自分とは異なる存在になってしまうと考える人もいます。しかし、性格は「何が好きで、何が嫌いか」を定義するものではなく、ユーモアのセンスを決めるものでもありません。また、性格はその人の価値観や人生で重要視するものとも異なります。

そのため、たとえビッグファイブ性格特性が「誠実性」から「外向性」に変わったとしても、自分自身の核が変わってしまうことはありません。ザヴァラ氏は、「それは単に違う思考・感情・行動で状況に対処することを学んだことを意味しています」と述べました。


性格を変えるのは難しいと考える人もいるかもしれませんが、人は常に考え方や行動が同じというわけではなく、経験や状況、心構えによってこれらは異なります。つまり、性格が「考え方・感じ方・行動の特徴」である以上、性格を変えることは可能だというわけです。

たとえば、A氏の性格が「あまり信頼できない」ものだったとします。ある日A氏が「時間を守ることは相手を尊重していることだ」と考えを改め、待ち合わせ場所に5分前に着くように心がけたり、アラームやリマインダーをセットしたりするようになれば、A氏は「信頼できる人の特性」を身につけたといえます。時間が経過してもこれらの思考や感情、行動を維持できれば、性格は変わったことになります。


実際に年齢を重ねると「より外向的になり、感情的に安定し、人当たりがよく、良心的になる」という研究結果があり、性格は変わることが示されています。

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ザヴァラ氏が行った研究でも、人々は自分の思考や行動を意図的に調整することで、性格の変化をスピードアップさせられることが示されています。ザヴァラ氏によると、意識的に性格を変えようとすれば、わずか20週間未満で性格が変わるとのことです。

自分の性格を変えようとするには、「思考パターン」と「行動」を変える必要があるとザヴァラ氏は説明しています。まずは自分の思考パターンに気付くことで、その思考に沿って行動している自分を認識し、次に行動を変えて周囲からの反応がどのように変わるのかを確かめます。この繰り返しで、自分がどのような思考を持って、どのように振る舞えばいいのかがわかってくるとのこと。

ザヴァラ氏は、「性格はあなたの特徴的な考え方や行動のことであるため、こうした認知行動戦略は性格を変化させるのにとても効果的です。自分の考え方や行動を継続的に変えていくことで、長続きする習慣を身につけることができ、結果的に自分の望む性格を作り上げることができるのです」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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