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被災地の被害状況をチェーン店が営業しているかどうかで判断する「ワッフル・ハウス指数」とは?

by Thomas Hawk

災害時に適切な支援を行うには、被災地の被害状況を把握することが非常に重要です。災害に対応する政府機関であるアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁(FEMA)は被害状況を把握する非公式指標として、レストランチェーンのワッフル・ハウスの営業状態で地図を色分けする「ワッフル・ハウス指数」を活用しているとのことです。

How Waffle House Manages to Stay Open Through Disasters Like Hurricane Dorian (and What Other Businesses Can Learn) | Inc.com
https://www.inc.com/jessica-stillman/waffle-house-stay-open-hurricane-dorian.html

Waffle House Index helps Southerners and FEMA judge a hurricane's severity | AP News
https://apnews.com/article/waffle-house-index-hurricane-milton-e0547ca1fb11ddcadab50035a0da7819

ワッフル・ハウスはアメリカのジョージア州に本部を置く24時間営業のレストランチェーンであり、アメリカ南部と中部大西洋沿岸を中心とする25州に合計1900以上の店舗を構えています。ワッフル・ハウスは災害に強いことで知られており、通常営業ができなくても提供メニューを制限するなどして営業を続けます。


そんなワッフル・ハウスの営業状態を基にして被害状況を測定するFEMAの非公式指標が、ワッフル・ハウス指数と呼ばれるものです。被災地にあるワッフル・ハウスを、すべてのメニューが注文できる状態は「グリーン」、一部のメニュー限定で営業されている状態は「イエロー」、閉店している状態は「レッド」として色分けすることで、どの地域でワッフル・ハウスの営業に支障が出るほどの被害が出ているのかがわかるという仕組みです。

一見するとばかげた理論のように思われるかもしれませんが、実際にハリケーンによく見舞われるアメリカ南部の人々や連邦政府関係者にとって、ワッフル・ハウス指数は被災状況を把握する方法の1つになっています。2024年9月末にアメリカ南部をハリケーン「ヘレン」が襲った際には、被災から2週間が経過してもカロライナ州とジョージア州の20店舗は閉店されたままで、その他の地域で営業している店舗も限定メニューのみの提供となっていました。これは、いかに当該地域の被害が甚大だったのかを物語っています。

by atmtx

もともとアメリカ南部の人々は、ワッフル・ハウスがハリケーンの直撃時も営業している唯一のレストランか、あるいはハリケーンが過ぎ去って最初に営業を始めるレストランであると気付いていました。

最初にワッフル・ハウス指数を考案したのは、元FEMA長官のクレイグ・ヒューゲイト氏です。ヒューゲイト氏は2004年にフロリダ州の危機管理を主導していた際、ハリケーン通過後の被災地を調査しながら食事できる場所を探していました。

すると、一部のワッフル・ハウスは閉店していたものの、電力や水道が復旧していない地域でもメニューを限定して営業しているワッフル・ハウスが見つかりました。最終的に、ワッフル・ハウスの営業状態で色分けした地図が、被害が深刻な場所を特定するのに役立つ指標となることが判明。ヒューゲイト氏は2011年にFEMA長官になってからも、ワッフル・ハウス指数を活用していたとのこと。

これを受けてワッフル・ハウスも、ハリケーンなどの災害が起きた際にSNSなどで店舗の営業状態を告知しています。


ワッフル・ハウスが災害に強いのは偶然ではありません。ワッフル・ハウスでは過去のデータから「被災直後に再開した店舗では売上が激増する」ということがわかっているため、意図的に「災害時や災害直後に営業できるようにする」というビジネス戦略を採用しているとのこと。そのため、店舗には停電に備えたポータブル発電機が備えられているほか、災害対応用の「ジャンプチーム」も用意されています。

ジャンプチームは請負業者や建設作業員、ガスラインの専門家、レストランのオペレーター、食品提供者、その他の関係者で構成されています。ワッフル・ハウスでは、地域を担当するヴァイス・プレジデントが現場リーダーとして被災地の状況を本部に伝え、本部が必要だと判断すれば「ジャンプチーム」を現場に送り込む体制が整っています。

被災地の店舗で働くオーナーや従業員は家族と共に避難したり、家の補修や復旧作業をしたりする必要があるため、被災時や被災直後に働くのは困難です。その間は本部から送り込まれるジャンプチームが店舗運営を引き継いで、被災後すぐに営業を開始する仕組みになっています。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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