旧ソ連に数学の天才が多いのは幼少期の「数学サークル」教育の影響か
1991年に崩壊したソビエト連邦を構成した国々は、多くの優秀な人材を輩出しています。特に、数学の天才が多数現れることについて、評論家のジョン・スミス氏は、数学者アレクサンダー・ズヴォンキン氏の著作をもとに「数学サークル」の存在を指摘しています。
REVIEW: Math from Three to Seven, by Alexander Zvonkin
https://www.thepsmiths.com/p/review-math-from-three-to-seven-by
数学サークルは数学を本当に楽しんでいて、数学について考えたり話したりすることに時間を使いたい人々の非公式なグループです。独自の内部文化をもって友情を育み、特に才能のある「コーチ」が付いていることが多い点でスポーツチームに似ていますが、互いに競争するのではなく協力するという点で異なります。数学サークルは革命前のロシア帝国で始まり、その後、ソ連全体に広まったものだとのこと。
数学サークルで取り組む問題は学校で習う数学とは大きく異なります。学校の数学は主に教育目的の演習問題で構成されていますが、数学サークルでは誰かが実際に何かをしようとしている時に浮かび上がる興味深い質問に取り組みます。そうした問題は答えがあるかどうかも不明で、たとえ答えがあったとしても何か月もひたむきに取り組まなくては出ない答えの可能性もあります。
数学サークルではコーチがそれぞれのメンバーの実力を伸ばすための問題を選ぶこともあれば、サークル全体で協力して誰も答えを知らない問題に取り組むこともあります。サークルで最も優秀なメンバーたちが限界まで追求しても答えが出ない難問もあるものの、そうした「敗北」はふさわしい相手を選んだからこそのものであり、一度敗北しても再び挑戦することが多いとのこと。
スミス氏は数学サークルの中でも変わった例として、アレクサンダー・ズヴォンキン氏の話を紹介しています。プロの数学者であるズヴォンキン氏は、あるとき3歳から4歳ごろの近所の子どもを集めて数学サークルを開くことにしました。
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