サイエンス

自然界に存在する新たな形状「ソフトセル」が発見される、二次元では鋭角を2個持ち三次元では鋭角を持たない形状


ブダペスト工科経済大学とオックスフォード大学の研究チームが自然界に存在する新たな形状クラスタ「Soft cells(ソフトセル)」を発見しました。ソフトセルは「タマネギの断面」「筋繊維」「オウムガイの殻の内側」など多様な場所に存在しており、「二次元空間では鋭角を2個持ち、三次元空間では鋭角を持たない」という特徴を備えています。

Soft cells and the geometry of seashells | PNAS Nexus | Oxford Academic
https://academic.oup.com/pnasnexus/article/3/9/pgae311/7754698

What Do Onion Skins and Zebra Strips Have in Common? New Geometric Shapes Identified by BME Mathematicians | BME central site
https://www.bme.hu/en/news/240910/bme-epk-research-soft-cells-discovery-publication

Mathematicians discover new universal class of shapes to explain complex biological forms | University of Oxford
https://www.ox.ac.uk/news/2024-09-12-mathematicians-discover-new-universal-class-shapes-explain-complex-biological-forms

数学の分野の1つに、「空間を隙間なく埋める図形」について研究する分野があります。この分野では一般的に三角形や多角形といった「直線と複数の鋭角で構成された図形」が研究対象となるのですが、それらの形状は自然界ではあまり見られません。


研究チームは、自然界の物体が形成している「直線や鋭角のない形状」を数学的に説明する方法を追及。その結果、「ソフトセル」と呼ばれる新たな数学的形状によって自然界の多くの物体が成り立っていることを突き止めました。

ソフトセルは、二次元空間では「2つの角と曲線で構成された図形」として表現されます。ソフトセルによって構成されるタイル構造の例は以下の通り。上段が「三角形に似たソフトセル」、中段が「四角形に似たソフトセル」、下段が「六角形に似たソフトセル」のタイル構造です。


ソフトセルが自然界で現れる例が以下。「河川」「シマウマのしま模様」「貝の断面」「藻類の先端の幾何学モデル」「筋繊維」「タマネギの断面」「小麦」「血球の断面」などにソフトセルが観察されます。また、右端の列は白紙となった新国立競技場デザイン案の作者である建築家のザハ・ハディド氏のデザインにもソフトセルが現れることを示しています。


三次元空間ではソフトセルは「鋭角を1つも持たない形状」として現れます。研究チームは三次元空間におけるソフトセルの例としてオウムガイの殻を提示しています。


研究チームの一員であるガボール・ドモコシュ教授は「多くの場合、新たな幾何学的構造の応用可能性は発見から長い年月をかけて明らかになります。ソフトセルに関しては数学的問題・生物学的問題・建築学的問題に応用できることがすでに明らかになっていますが、いずれ他の分野でも科学的に有用であることが示される可能性があります」と述べています。また、同じく研究チームの一員であるアライン・ゴリエリー教授は「自然は真空を嫌うだけでなく、鋭角も嫌うようです」とコメントしています。

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in サイエンス, Posted by log1o_hf

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