アート

幾何学折り紙のパイオニアである藤本修三氏の自費出版折り紙教本5冊がパブリックドメインに

by origami_madness

幾何学的なパターンの折り紙を数多く発明し、折り紙愛好家の中では世界的知名度を誇る藤本修三氏が自費出版した5冊の折り紙教本が、藤本氏の子どもの同意を得てパブリックドメインで公開されました。

Fujimoto’s Five Books are now Public Domain - Origami by Michał Kosmulski
https://origami.kosmulski.org/blog/2022-10-23-fujimoto-books-public-domain

藤本氏は1922年に大阪で生まれ、化学・製薬会社勤務を経て兵庫県の高校で化学教師となった人物です。最初は「1枚の紙で正三角形を作るにはどうすればよいか」という問題から出発し、折り紙への関心が増すにつれて正五角形、正四面体、正二十面体と次々に複雑な立体を作るようになり、やがて化学の授業で結晶構造などを解説するための教材として折り紙模型を作るようになったとのこと。


藤本氏の折り紙は結晶構造や幾何学的形状を表すために発展していったものであり、後に折り紙テッセレーションの定番となった三角形/六角形格子を使用した先駆者の1人でもあることから、同氏は幾何学折り紙のパイオニアとも呼ばれています。また、国内外の折り紙デザイナーや研究者との交流や文通もしていたものの、基本的には主流の折り紙トレンドの外側に位置していたことから、世界的に見ても珍しいユニークなスタイルの折り紙を生み出したと評価されています。

藤本氏は数多くの折り紙モデルを発明しましたが、初期に発表した「藤本キューブ」や「藤本アップル」、1994年に発表した「高密度あじさい」「クローバー」などは特に有名だとのこと。これらの折り方を解説する動画もYouTubeに多数アップされています。いずれの作品も紙にとても細かい折り目をつけ、それに沿って巧妙に折り畳むことで形を作り上げていることが見て取れます。

「藤本キューブ」

Origami Fujimoto Cube - YouTube


「藤本アップル」

Origami Instructions: Apple (Shuzo Fujimoto) - YouTube


「高密度あじさい」

How To Fold A High-Density Hydrangea (Shuzo Fujimoto) | Origami Tutorial by Origami_art_love - YouTube


「クローバー」

How To Fold A CLOVER (Shuzo Fujimoto) | Origami Tutorial Clover Folding by Origami_art_love - YouTube


藤本氏は2015年に介護施設で亡くなりましたが、2022年10月22日には生誕100周年を記念したオンラインイベントが開催されました。その中で、藤本氏の子どもである2人によって、藤本氏が生前に自費出版した5冊の折り紙教本をパブリックドメインで公開することが発表されました。

パブリックドメインとなったのは、1976年初版の「立体折り紙」、1982年初版の「創造する折り紙遊びへの招待」、1978年初版の「ねじり折り 1」、1983年初版の「ねじり折り 2」、初版年不明の「ねじり折り 3」です。いずれも紙書籍をスキャンしたPDFファイルとして公開されており、藤本氏の作品カタログから折り方が載っている教本を逆引きすることも可能となっています。

「立体折り紙」の表紙はこんな感じ。「立体折り紙」には藤本氏と同じ学校に勤務していた西脇正己氏からの寄稿文も記されており、これによると学校内には藤本氏が作った折り紙作品が「ハンラン」(原文ママ)しており、文化祭では校内の彩りとなっているほか、原子・分子・結晶模型として西脇氏も授業で使っていたことが明かされています。


本文ではさまざまな幾何学図形や物体の折り方が丁寧に解説されています。


「創造する折り紙遊びへの招待」にはカラー写真も何枚か挿入されており……


「ねじり折り 1」「ねじり折り 2」「ねじり折り 3」には藤本氏が描いた絵が入っていました。

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in 動画,   アート, Posted by log1h_ik

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