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Xがヴァンス副大統領候補の個人情報流出文書へのアクセスをブロックしてジャーナリストのアカウントを凍結


ドナルド・トランプ陣営から流出したとされる文書を公開したジャーナリストのアカウントをXがブロックし、当該文書を掲載したURLをプラットフォーム全体でアクセス禁止にしました。理由について、Xは「編集されていない個人情報の投稿に関する規則に違反したため」と説明しています。

X blocks links to hacked JD Vance dossier - The Verge
https://www.theverge.com/2024/9/26/24255298/elon-musk-x-blocks-jd-vance-dossier

X suspends journalist Ken Klippenstein after he published J.D. Vance dossier
https://www.engadget.com/social-media/x-suspends-journalist-ken-klippenstein-after-he-published-jd-vance-dossier-214219066.html

問題の文書は、ドナルド・トランプ陣営が共和党副大統領候補のJ・D・ヴァンス氏を調査するために準備したものでした。この文書は2024年7月頃に何らかの理由で流出しており、トランプ陣営やFBIはハッキングが行われた可能性があるとして調査に乗り出しています。トランプ陣営はイランによる攻撃だと主張していますが、証拠は見つかっていません。

ドナルド・トランプ陣営がハッキングされ内部文書が流出した可能性を受けFBIが調査を開始 - GIGAZINE


当該文書は「ロバート」を名乗る人物から複数の報道機関に送りつけられていることがわかっており、内容を確認した一部の機関は「本物の可能性が高い」と認めているとのこと。ただし、ハッキングで流出した可能性があること、個人情報が含まれていることなどから、多くの機関は内容の公開を差し控えていました。

ところが、個人ジャーナリストのケン・クリッペンスタイン氏は「選挙の時期に社会の大きな関心を集めている」として、自身のウェブサイトに当該文書を掲載。Xでその旨を宣伝したところ、Xアカウントが凍結されました。

処分の理由について、Xのセーフティチームは「ヴァンス上院議員の住所と社会保障番号の大部分など、編集されていない個人情報の投稿に関する当社の規則に違反したため、一時的に資格停止とした」と説明しました。


クリッペンスタイン氏のアカウントが凍結されたことに加え、文書を掲載したURL「https://www.kenklippenstein.com/p/read-the-jd-vance-dossier」がプラットフォーム全体でアクセス禁止になるなどの措置が執られています。例えば、当該URLを検索しても何も表示されません。


URLを投稿しようとすると「このリクエストは、リンクがXまたはパートナーにより有害な可能性があると判断されたため完了できません。詳細はヘルプセンターをご覧ください。」と表示されて失敗します。


Xユーザーの中には、個人情報に関係のない投資関連ページのスクリーンショットを投稿しただけで一時的にアカウントが停止されたという人もいるようです。


アカウントが凍結されてしまったクリッペンスタイン氏は、自身のウェブサイトで「私は、国民が知るべきことと知るべきではないことを決める政府のように文書を改ざんすることが、ニュースメディアの仕事だとは思わない。たしかに、リークや機密文書から個人的な情報を削除するのが一般的なやり方であることは知っているが、今回の場合ヴァンスは選挙で選ばれた公職者であり、副大統領候補であるだけでなく、その情報は誰でも簡単に購入できるものだ。文書の中には『我々は、数百のニュースアーカイブや様々な政府リソースなど、容易に入手可能なすべての記録に基づいて調査を行った』とあるが、これはまさに、(私でなくとも)すべての情報が容易に手に入ることを指し示している。メディアの仕事は、このような形の検閲に反撃することだと私は信じている」と意見を表明しました。

イーロン・マスク氏に買収される前のX(当時Twitter)にはハッキングされた資料に関するポリシーがあり、そのようなコンテンツの投稿やリンクは明確に禁止されていました。このポリシーの下で、ジョー・バイデン大統領の息子であるハンター・バイデン氏の情報を報じたニューヨーク・ポスト紙のリンクが「ハッキングにより流出した個人情報を含んでいる」として禁止され、ニューヨーク・ポストのアカウントが一時凍結されるなどの事態になっていました。しかし、Twitterは反発を受けてポリシーを修正し、当時のジャック・ドーシーCEOは「URLのストレートなブロックは間違っていた」と謝罪しています。

当時からTwitterを利用していたマスク氏はリンクの禁止に不満を抱いていた一人であり、「真実の記事を掲載したとして大手報道機関のアカウントを停止したことは明らかに極めて不適切だった」と強く非難していました。


上記の一件をきっかけに、マスク氏はジャーナリストのマット・タイービ氏を招いて調査を実施させ、Twitter社内で民主党員の削除要請を優先的に受理していたなどの情報を暴く、いわゆる「Twitterファイル」を公開させていました。一連の流れの中でタイービ氏はロー・カンナ下院議員など複数人物のメールアドレス(個人情報)をTwitter上で公開していて、当該投稿は記事作成時点でも閲覧することができます。

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in ネットサービス, Posted by log1p_kr

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