「原神」の未公開情報をリークしたユーザーを保護するX(旧Twitter)の主張が裁判所によって拒否される
人気オープンワールドRPG「原神」で未発表のアートワークやアップデート情報を漏えいしたX(旧Twitter)アカウントについて、ゲーム運営元のCognosphereはXに対して情報開示請求を行いました。Xが請求を拒否したことで裁判所での紛争解決手続きに入っていたのですが、裁判所はXの異議を却下する命令を下しました。
X Loses Battle to Protect Genshin Impact Leaker's First Amendment Anonymity * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/x-loses-battle-to-protect-genshin-impact-leakers-first-amendment-anonymity-240921/
Cognosphereは2022年12月~2023年1月にかけて、シナリオや新しく実装されるキャラクターについてのリークを繰り返していた合計5つのXやDiscordアカウントに対してデジタルミレニアム著作権法(DMCA)召喚状を申請しました。その他にも積極的にDMCA召喚状により削除請求や個人情報の開示請求を行うなど、オンラインの著作権違反対策に積極的な姿勢を示しています。また、「原神」のプライベートサーバーにアクセスすることでコンテンツのほとんどを無料で利用するユーザーについても、「ゲーム内の画像を無断で使用している」ことを理由に訴えを起こしています。
「原神」がチートやプライベートサーバーの運営者を著作権侵害で提訴 - GIGAZINE
著作権侵害対策の一環として、6週間に1回の大規模アップデートで追加される新たなプレイアブルキャラクターや新ビジュアル、新要素などの情報をリークしたXユーザーについて、CognosphereはXに対して開示請求を行いました。開示請求を求めるDMCA召喚状は2023年11月6日に裁判所へ提出されましたが、対応期限の前日となる11月21日にXは異議申し立てを行い、情報開示に応じませんでした。拒否した理由についてXは「Cognosphereは、DMCAに基づいて発行された召喚状を通じて、第三者の匿名発言者の正体を暴こうとしています。しかし、当社はCognosphereがこれらの発言者の正体を暴くために必要な合憲的証拠証明を行ったかどうかを判断する立場になく、従って、当事者が法廷から判断材料を得られるよう、アメリカ合衆国憲法修正第1条の『言論の自由』の異議を申し立てる立場です」と裁判所に通告したそうです。
「原神」の未公開情報をリークしたユーザーの情報開示をX(旧Twitter)が拒否 - GIGAZINE
XのDMCA召喚状に基づく開示請求の拒否について、カリフォルニア州北部地区の地方裁判所は「口頭弁論を必要とせずに紛争を解決できると判断した」と結論付けています。結果として、Xの召喚状却下申し立ては却下され、Cognosphereの請求が通った形になります。
判事は却下の理由について、「DMCA召喚状の受取人は、それに従うと憲法修正第1条で保護されている資料の開示が必要となり、連邦民事訴訟規則に抵触すると考えられる場合、異議を申し立てることができます。Xは連邦民事訴訟規則を理由に異議を申し立てていないため、憲法修正第1条に基づくXの異議が妥当かどうかがすべてです。今回の件では、『原神』のアートワークの無許可コピーという内容は、憲法修正第1条が保護すべき言論の自由には該当しないと考えられます。結果として、Cognosphereは誠意を持って行動し、裁判所はCognosphereの開示の必要性が、争点となっている憲法修正第1条の利益よりも重要であると判断しました」と説明しています。
なお、リークをしたとみられるXユーザーはこの訴訟に出廷しませんでしたが、裁判所によると、当事者の不参加は裁判所の評価に影響を与えないとのこと。申し立て却下命令書には「匿名性に関して、Xの利益は各ユーザーの利益と一致しています。したがって、Xはユーザーに代わって、召喚状の執行に反対する際に憲法第1条の利益を十分に主張できる可能性があります」と記されています。
・関連記事
「原神」がチートやプライベートサーバーの運営者を著作権侵害で提訴 - GIGAZINE
「原神」の未公開情報をリークしたユーザーの情報開示をX(旧Twitter)が拒否 - GIGAZINE
人気オンラインゲーム「原神」の公式サイト上からユーザーの電話番号が漏洩 - GIGAZINE
人気ゲーム「原神」が二次創作マンガ&小説の出版が自由にできるようにガイドラインを改訂 - GIGAZINE
PC版「原神」のアンチチートシステムを逆手にとってアンチウイルスを無効にするランサムウェア攻撃が発見される、「原神」をインストールしていなくても標的に - GIGAZINE
・関連コンテンツ