保安局を根城にして受刑者に暴力を振るうギャング集団が実在する
アメリカ・ロサンゼルスにはギャングが幅をきかせるような地域もあり、日本国総領事館などが(PDFファイル)警戒を促しています。そんなロサンゼルスでは、市民を守るべき保安官の一部が逆に黒人やラテン系のコミュニティを暴力的な恐怖に陥れるようなギャング集団となっています。
A Tradition of Violence: The History of Deputy Gangs in the Los Angeles County Sheriff’s Department - Knock LA
https://knock-la.com/tradition-of-violence-lasd-gang-history/
L.A. is investigating 50-year-old police gangs, finally | Reuters
https://www.reuters.com/legal/government/la-is-investigating-50-year-old-police-gangs-finally-2022-03-30/
1970年代以降、ロサンゼルスでは一部の保安官が組織的に有色人種への嫌がらせや差別、違法な拘留、過度な暴力行為などを行ってきました。最初に世間の注目を浴びたのは、イーストロサンゼルス保安局を拠点とする「リトルデビルズ」と呼ばれるギャング集団で、これらの構成員は自身がそのグループの一員であることを示すために、「死神」を示すタトゥーを入れているとのこと。
また、これらのグループでは、窃盗や勤務中のアルコール・薬物の不正使用によって懲戒処分を受けたメンバーへの違法な保護などが行われていたほか、グループの活動を脅かしたり妨害したりする他の保安官への報復行為も報告されていました。
実際に2008年には、保安局の職員で構成されたグループが「ラテン系の受刑者に約6時間にわたって全身にテーザー銃を発射する」「殺害をほのめかす」といった事件を(PDFファイル)起こしています。激しい暴行の末、合計19人もの受刑者が死傷したことが報告されています。
ABC7 - Violent jail cell extraction at Men's Central Jail - YouTube
ロサンゼルス郡保安局の調べでは、2022年3月時点で組織内に18のギャング組織が存在しているとのこと。2022年7月にアメリカ自由人権協会などは訴訟を提起するとともに、「これらの組織が暴力をもってロサンゼルスの一部地域を支配しています」と主張しました。
保安官によるギャング集団の形成に対してカリフォルニア州議会は2022年に「州内の保安官によるギャング集団の存在と参加を禁止する」と規定した条例を制定しています。さらにロサンゼルス郡保安官市民監視委員会は2022年3月に、保安局内のギャング集団について調査を実施しており、その結果、元ロサンゼルス郡保安官のアレックス・ビヤヌエバ氏やビヤヌエバ氏の腹心の部下であるラリー・デル・メセ氏らの関与が認められています。
なお、ロサンゼルス郡保安官市民監視委員らの活動によって、ビヤヌエバ氏らを含むこれまでに6人の保安官が(PDFファイル)解雇されています。
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