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優れたSFおよびファンタジー作品に贈られる「ヒューゴー賞」で不正投票が発覚


毎年開催される世界SF大会で選出されたSFやファンタジーの作品や関連人物に贈られる賞が「ヒューゴー賞」です。イギリス・スコットランドのグラスゴーで開催される第82回世界SF大会「Glasgow 2024」のヒューゴー賞管理小委員会が、2024年度ヒューゴー賞の最終投票の集計中に異常なデータを検出したことを明らかにしました。

Glasgow 2024 Hugo Awards Statement – 22nd July 2024 | Glasgow 2024
https://glasgow2024.org/hugo-awards/statement-22-july-2024/


ヒューゴー賞は、SFおよびファンタジーに関する小説や映像、マンガなどの作品、あるいは作家や功労者に贈られる賞です。通常、文学賞は作家や批評家で構成された選考委員会で審査されますが、ヒューゴー賞は世界SF大会の参加者、すなわち一般のファンの投票によって決まるのが特徴。つまり、ヒューゴー賞の投票権を得るためには、世界SF協会(WSFS)の会員権を購入して世界SF大会に参加する必要があります。

by Sanna Pudas

WSFSの憲章には、「この憲章に基づいて生じるすべての問題において、憲章に別段の定めがない限り、自然人のみが議案を提出、指名、あるいは投票することができます。何人も、いかなる投票および争議においても1票以上を投じることはできません」と定められています。

しかし、ヒューゴー賞管理小委員会によると、2024年度ヒューゴー賞の投票の多くが「自然人の基準を満たさないアカウント」によって行われ、明らかな偽名を使っていたり、姓名の最初の文字を変えただけの名前や連続した数字を使った名前で投票しているものが含まれていたとのこと。最終投票の総数は3813票で、少なくとも不正投票であると疑われたのは全体の約1割に相当する377票でした。


これらの不正が疑われる投票のほとんどが「特定のファイナリスト1人」を支持しており、その投票パターンは他のファイナリストに対する投票、あるいは過去のヒューゴー賞に見られた投票パターンとは驚くほど違っていたそうです。なお、ヒューゴー賞管理小委員会は特定のファイナリストが誰であったのかは明らかにしていません。

また、ヒューゴー賞管理小委員会は「データで観察できるパターンに加えて、少なくとも1人の人物がWSFS会員権の購入を多数後援しており、会員がこの講演者の希望通りに投票が行われたあとにWSFSの会員権が後援者から払い戻された」と報告しています。


ヒューゴー賞管理小委員会は「特定のファイナリストが不正投票を認識していたという証拠はなく、不正投票に関わりがあったという証拠もありません。しかし、不正が疑われる377票は無効となります」と述べています。

なお、中国の成都で開催された第81回世界SF大会における2023年度ヒューゴー賞では、中国で問題になりかねない複数の作品や作家が最終選考から除外されていたことが報じられています。

SF分野の権威ある「ヒューゴー賞」の審査委員会が中国で問題になりかねない作家を最終選考から除外していたことが判明 - GIGAZINE

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in メモ, Posted by log1i_yk

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