「投票率243%」というあり得ない数値をたたき出した選挙区域が発生してしまう
by steve
政治的な選挙における投票率は、選挙区域における投票参加の度合いを示すものであり、国民の政治への関心度を表す指標としても用いられています。投票率は高いほうが望ましいものですが、アメリカの選挙ではまさかの投票率243%という、あり得ない投票率が記録されてしまったと報じられています。
Activists collect tales of voting problems in GA primary | McClatchy Washington Bureau
https://www.mcclatchydc.com/latest-news/article216056560.html
Georgia defends voting system despite 243-percent turnout in one precinct | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2018/08/georgia-defends-voting-system-despite-243-percent-turnout-in-one-precinct/
2018年5月、ジョージア州では2018年11月に行われるアメリカ中間選挙に向けた予備選挙が行われました。ジョージア州の北東部にあるマッド・クリークという選挙地区では、選挙直前の時点で276人の有権者がいるとされていましたが、実際に投票された票数は670票であり、驚異の投票率243%をたたき出したとのこと。
ところが、実際には選挙が始まった直後にマッド・クリークの有権者数は3704人へと修正されており、「正しい投票率は18%だった」と発表されました。このような混乱した状況に陥ってしまった理由として、「ジョージア州の投票システムに不備が存在する」という指摘が出ています。
ジョージア州では投票システムが完全に電子化されており、アメリカでも数少ない紙の投票用紙を使わない選挙地区となっています。ところが、2017年には「ジョージア州の電子投票システムにはセキュリティ上の欠陥が存在しており、ハッキングされる危険性もある」と研究者が報告していました。
by Carl Mikoy
投票システムの欠陥を指摘されていたにもかかわらず、ジョージア州では2018年5月の予備選挙でも電子投票システムを使用。すると、「同じ住所を登録している夫婦なのに、別の投票場に割り当てられた上に、違う選挙区域に割り当てられていた」「選挙当日にシステムがフリーズした」「ウェブサイトで指示された投票場に行ったのに、『別の投票場へ行ってくれ』と言われてしまった」といった報告が次々に寄せられる事態になってしまったそうです。
電子投票システムのセキュリティに詳しい専門家のHarri Hursti氏は、事前に発見されていたシステムの欠陥と今回の混乱には関連があるかもしれないが、たとえシステムの欠陥が今回の混乱を引き起こしたと確認されていなくても、直ちに紙の投票に切り替えるべきだと主張しました。「正しいことを行うのに、証拠は必要ありません」とHursti氏は述べています。
ジョージア州の州務長官であるBrian Kemp氏は「選挙システムは関係者の努力によって安全に保たれている」と語りましたが、今回発生した混乱を無視することはできなかったのか、2020年アメリカ合衆国大統領選挙に向けた投票システムの変更を検討する委員会を設置しました。ところが、「いくら迅速に投票システムの変更が実施されても、2018年11月のアメリカ中間選挙には間に合わないだろう」と見られています。
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