サイエンス

肥満がなぜ精子数の減少と性欲の低下につながるのかが判明


肥満は男性のテストステロンを低下させ、精子の数を減少させ性欲を低下させることが過去の研究で明らかになっています。肥満がなぜこのような変化をもたらすのかは完全に解明されていないのですが、マウスを使った研究により、その原因の一端が判明しました。

Obesity Alters POMC and Kisspeptin Neuron Cross Talk Leading to Reduced Luteinizing Hormone in Male Mice | Journal of Neuroscience
https://www.jneurosci.org/content/44/28/e0222242024


Brain changes linked to obesity result in low sperm count, mouse study finds
https://medicalxpress.com/news/2024-07-brain-linked-obesity-result-sperm.html

肥満は深刻な病気であり、アメリカでは成人の5人に2人が罹患しているとされています。肥満は心血管疾患や2型糖尿病など重大な健康問題を引き起こすことが知られていますが、同時にテストステロンの低下による精子数の減少や性欲の低下も引き起こすことがあります。

カリフォルニア大学リバーサイド校のジュルジカ・コス氏らは、人間の肥満を模倣するために高脂肪食を与えたマウスを用いて、肥満が脳に慢性的な変化を引き起こすことを発見しました。肥満のマウスの脳ではニューロン間の結合が減少しており、十分なエネルギーが利用可能であることを脳に知らせて食物摂取を停止させる受容体の数が減少していたとのことです。


影響を受けるのは、食物摂取、体温、喉の渇き、生殖を調節している視床下部でした。視床下部には下垂体からのホルモンの合成と分泌を調節するニューロンがありますが、肥満のマウスではニューロンが正常に機能しなくなると下垂体からのホルモンレベルが低下し、テストステロンと精子量が低下するそうです。コス氏は、マウスと同じ脳のメカニズムが人間にも存在することを強調しました。

コス氏は「私たちはまず、高脂肪食を与えたマウスを通常の食事に戻して体重を減らすことで、これらの変化を元に戻せるかどうかを検証したいと思います。減量後、ある一定の時間が経過すると脳は体の食事摂取量をリセットすることができることを証明したいと考えています」と語りました。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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