サイエンス

高脂肪な食事を続けるとカロリー摂取量を調節する脳の機能が破壊されてしまう可能性


ジャンクフードなどの高脂肪な食事を食べ続けると腸内細菌に悪影響が及ぶことや、アルツハイマー病・うつ病・不安の症状が悪化することがわかっています。新たな研究では、マウスに高脂肪食を食べ続けさせるとカロリー摂取量を調節する脳の機能が破壊されてしまうことが判明しました。

Brainstem astrocytes control homeostatic regulation of caloric intake - Clyburn - The Journal of Physiology - Wiley Online Library
https://doi.org/10.1113/JP283566

Why a high fat diet could reduce the brain’s ability to regulate food intake - The Physiological Society
https://www.physoc.org/news_article/why-a-high-fat-diet-could-reduce-the-brains-ability-to-regulate-food-intake/

High-Fat Diets May Break The Brain's Ability to Regulate Calories : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/high-fat-diets-may-break-the-brains-ability-to-regulate-calories

ペンシルベニア州立大学の研究チームは、マウスを「1日・3日・5日・14日にわたり高脂肪な食事をとり続ける実験群」と「標準的な食事をとる対照群」に割り当て、マウスの食物摂取量と体重を監視すると共に、脳内の神経回路のモニタリングを行いました。


実験の結果、中枢神経系に存在するグリア細胞の一種である「アストロサイト(星状膠細胞)」が、脳がカロリー摂取量を調節する上で重要な役割を果たしていることが示されました。アストロサイトは高脂肪・高カロリーな食品の摂取に反応し、胃の働きを制御する化学物質を放出することで、食物摂取量を調節していたとのこと。研究チームがアストロサイトの働きを阻害したところ、カロリー摂取量の調節能力が失われたと報告されています。

また、マウスにおけるアストロサイトの働きは高脂肪な食事を3~5日間食べ続けた時に最大となりましたが、10~14日にわたり高脂肪食を摂取し続けるとアストロサイトが反応しなくなってしまうこともわかりました。

研究チームのカースティー・ブラウニング博士は、「カロリー摂取はアストロサイトによって短期的に制御されているようです。私たちは、高脂肪・高カロリーの食事に短期間(3~5日間)さらされた時、アストロサイトに最も大きな影響が与えられ、胃を制御するための正常なシグナル伝達経路をトリガーすることを発見しました。時間の経過と共に、アストロサイトは高脂肪食に対して鈍感になるようです。高脂肪・高カロリー食を食べ始めてから10~14日が経過した頃にアストロサイトが反応しなくなり、脳のカロリー摂取量調節能力が失われるようです」と述べています。


今回の研究では、アストロサイトがカロリー摂取量の調節能力に関連していることはわかったものの、過食のメカニズムとの正確な相互作用については明らかになっていません。ブラウニング博士は、「アストロサイトの活動やシグナル伝達メカニズムの喪失が過食の原因なのか、それとも過食に反応してこれらの現象が起こっているのかは、まだ解明されていません」と述べています。

また、研究はあくまでマウスを対象にして行われたものであるため、同じことが人間に当てはまることを確認するためにはさらなる研究が必要です。肥満は2型糖尿病や心血管疾患、特定のがんなどのリスクを高める重大な問題であるため、研究者らは過食に関連する脳の複雑なメカニズムを解明することが、肥満を減らす方法の開発につながることを期待しています。

ブラウニング博士は、「私たちは失われた脳のカロリー摂取量調節能力を再び活性化することが可能かどうか知りたいのです。もしこれが可能であれば、人間のカロリー摂取量調節能力を回復させるための介入につながるかもしれません」と述べました。

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in サイエンス,   , Posted by log1h_ik

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