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作品を無断でAIトレーニングに使うことを違法化する「COPIED法」が議会へ提出される


アメリカ上院商務委員会の委員長であるマリア・キャントウェル上院議員ら3人の超党派議員によって、クリエイターらが自分のコンテンツがAIのトレーニングに使われたかどうかを追跡できるようにする「COPIED法」の法案を議会に提出しました。この法案が施行されれば、コンテンツの所有者が付与した来歴情報を無断で削除し、生成AIのトレーニングなどに使用することが違法となります。

Cantwell, Blackburn, Heinrich Introduce Legislation to Increase Transparency, Co...
https://www.commerce.senate.gov/2024/7/cantwell-blackburn-heinrich-introduce-legislation-to-combat-ai-deepfakes-put-journalists-artists-songwriters-back-in-control-of-their-content

Bipartisan bill aims to protect content from AI use
https://thehill.com/policy/technology/4766610-senate-bill-ai-content-protection/

今回議会に提出された「Content Origin Protection and Integrity from Edited and Deepfaked Media Act of 2024(編集されたメディアやディープフェイクされたメディアからコンテンツの発信元を保護し完全性を確保することに関する法律)」、通称「COPIED法」は、AIシステムやAIサービスを提供するプラットフォームに対し、ユーザーが作品に「来歴情報」を付与できるようにすることを義務付けるもので、猶予期間は施行後2年以内とされています。


同時に、付与された来歴情報を無断で削除したり、無効化したり、改ざんしたりすることは禁じられるほか、来歴情報が付与されたコンテンツを同意なしにAIのトレーニングに使用することも禁止されます。

これにより、アーティストやメディアといったコンテンツの所有者や州の司法長官は、コンテンツを許可なく素材として使用したり、来歴情報を無断で削除したりした企業を訴えることができるようになります。

法案はまた、国立標準技術研究所に対し、コンテンツの来歴情報や電子透かし、合成コンテンツの検出に関するガイドラインと標準を策定するよう指示しており、これによってコンテンツがAIで生成されたものかどうかや、AIの生成物に誰が作ったコンテンツが使われているかの来歴に関する透明性が確保されます。


キャントウェル上院議員ともに法案を提出したのは、上院商務委員会のマーシャ・ブラックバーン上院議員と、上院AI作業部会のマーティン・ハインリッヒ上院議員です。

キャントウェル上院議員は「この超党派のCOPIED法は、AIによって生成されたコンテンツに求められる透明性を提供するものです。また、来歴情報と電子透かしという形で、ジャーナリストやアーティスト、ミュージシャンを含むクリエイターにコンテンツの管理権を取り戻します。これは大変重要だと思います」と述べました。


法案には、映画俳優組合およびアメリカテレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)、ナッシュビル国際ソングライター協会、レコーディングアカデミー、アメリカ音楽出版社協会、アメリカレコード協会、ニュース/メディア連合、アメリカ新聞協会、Rebuild Local News、Seattle Times、アメリカ放送事業者連盟、Artist Rights Alliance、Human Artistry Campaign、Public Citizen、作曲家および作詞家協会、アメリカ作曲家組合、Music Creators North Americaが賛同しています。

中でも、SAG-AFTRAはAIから歌手やアーティストを保護する契約をレコード会社と締結したり、俳優の声をAIが作ってゲームで使用する協定をAI音声技術企業と締結したりと、アーティストの権利を保護しつつ倫理的なAIの使用を模索していく積極的な姿勢で知られる団体です。

俳優労働組合SAG-AFTRAが俳優の声をAIが作ってゲームで使用する協定に合意 - GIGAZINE


SAG-AFTRAのダンカン・クラブツリー=アイルランド事務局長は「驚くほど正確に表現者のデジタル版を作り出すAIの能力は、組合員の経済的、評判的幸福と自己決定に対する現実的かつ緊急の脅威となっています。この法案は、AI技術の使用を透明化し、コンテンツが生まれた時点まで追跡することを可能とするツールによって、テクノロジーの悪用による被害者が悪意ある当事者を特定し、追及することを可能にするものです。この問題に関するキャントウェル上院議員のリーダーシップを称賛するとともに、テクノロジーの乱用を防止するアプローチの一環として、この法案を支持します」と述べました。

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in ソフトウェア, Posted by log1l_ks

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