GoogleやCloudflareに要請して著作権侵害サイトへのアクセスを禁止するアメリカの新法案をDisneyやソニーが所属する業界団体が支援

民主党のゾーイ・ロフグレン下院議員が、著作権者がアメリカ国外で運営されている海賊版サイトを対象としたブロッキング命令を要求できるようにするための法案「外国デジタル海賊版対策法(FADPA)」を提出しました。この法案は既存のブロッキング法の課題となっていた「検閲」および「責任の所在」の問題を緩和するものと期待されています。
Rep. Lofgren Introduces Targeted Legislation to Combat Foreign Online Piracy That Preserves the Open Internet | Congresswoman Zoe Lofgren
https://lofgren.house.gov/media/press-releases/rep-lofgren-introduces-targeted-legislation-combat-foreign-online-piracy
New Bill Aims to Block Foreign Pirate Sites in the U.S. * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/new-bill-aims-to-block-foreign-pirate-sites-in-the-u-s-250129/
New Bill to Effectively Kill Anime & Other Piracy in the U.S. Gets Backing by Netflix, Disney & Sony
https://www.cbr.com/america-new-piracy-bill-netflix-disney-sony-backing/
FADPAが制定された場合、著作権者や排他的ライセンシー(申立人)は、アメリカの特定のインターネットサービスプロバイダー(ISP)やDNSリゾルバに対して海賊版サイトへのアクセスをブロックするよう求める「予備的命令」を出すよう、連邦地裁に申し立てることができるようになります。
この予備的命令は、裁判所に対し、その命令が他のウェブサイトやオンラインサービスにある非著作権侵害コンテンツへのアクセスを妨害するかどうか、サービス提供者に著しい負担をかけるかどうか、または公共の利益を損なうかどうかについてのリスク評価を実施することを認めるものであり、また請求を受けた外国の海賊版サイトからの証言を求めるためのものであると定義されています。
予備的命令を受け取った外国の事業者は、受け取った日から30日以内に裁判所に出頭し、反論しなければなりません。反論した場合はその日から14日以内に裁判所の判決が下され、反論がない場合は裁判所が申立人の主張を確認するための措置を執り行います。裁判所が申立人の主張は十分だと判断してリスク評価でも問題ありと認めた場合、裁判所はブロッキング命令を出し、15日以内に海賊版サイトへのアクセスを拒否するようサービス提供者に命じます。
例外的に、スポーツやコンサートなどのライブイベントが差し迫っている場合、あるいはイベントが進行中の場合、裁判所は外国の事業者の反対を待たずに即座にブロッキング命令を出すことができます。

サイトブロッキング法は60カ国以上に存在するとされていますが、DNSリゾルバは基本的に含まれていないため、DNSリゾルバを含む今回の法案は広い範囲に新たな影響を及ぼす可能性があります。法案では、アメリカのISPを「加入者数10万人以上のブロードバンドプロバイダー、および暗号化された手段を通じてDNSサービスを独占的に提供しない年間売上1億ドル(約155億円)以上のDNSリゾルバプロバイダー」と定義しており、ComcastやAT&Tなどの主要なISPのほか、DNSサービスを提供するGoogleやCloudflareなども対象となり得ます。
法案はまた、外国の海賊版サイトを「物理的にアメリカ国外にいる外国人によって運営されており、そのサイトが主に著作権を侵害するために設計され、著作権を侵害する以外に商業的に重要な目的や用途がないもの」と定義しています。
今回の法案は、既存のブロッキング法および法案が力を持ちすぎて検閲に値するとの懸念や、サービス提供者が特定のサイトをブロックすることでサービス提供者が責任を負うことになるなどの懸念を緩和するものだとされています。
著作権者はすでに、アメリカの著作権法に基づいてブロッキングを要求することができますが、既存の制度ではサービス提供者が責任を問われるリスクがありました。一方で今回のFADPAはサービス提供者に一定の免責を与えており、命令が正しく守られてさえいれば、サービス提供者は外国のサイトとそのユーザーからの異議申し立てから免除されます。加えて、申立人があたかも裁判所命令を犯罪の証拠であるように「サービス提供者が著作権侵害を意図的に助長していた」と主張することも許可されていません。
また、本法案ではすべての裁判所命令について発令後直ちに一般に公開することを義務付けることで、その透明性を確保しています。サービス提供者は最も侵害の少ない方法でアクセスをブロックする余地が残されているほか、検閲を防ぐためにブロッキング命令を一時的に中断して調査することもできます。

法案を提出したロフグレン議員は、「この法案は安全性と知的財産に焦点を当てると同時に、適正な手続を求め、言論の自由を尊重する、賢明で的を絞ったアプローチです」とコメントしました。もともとロフグレン議員はオープンなインターネットを守るために既存のブロッキング法案に反対していた議員の1人でしたが、今回の法案は適切な代替案だと考えているとのことです。
エンタメ系メディア・Deadlineによると、今回の法案は映画俳優組合・米テレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)やアメリカ作家協会のほか、ソニー・ピクチャーズやウォルト・ディズニー・スタジオが所属する業界団体のモーション・ピクチャー・アソシエーション(MPA)などが支持を表明しているそうです。
MPAの会長兼CEOであるチャールズ・リヴキン氏は、「ロフグレン議員がFADPAを提出してくれたこと、そして今議会で法案を制定することを約束してくれたことに感謝します」と述べました。一方、消費者利益団体のパブリック・ナレッジなどは、この法案も「検閲的」であるとして非難しています。
また、今回の法案はアメリカから外国のサイトへアクセスすることをブロックするものですが、VPNの利用を禁止するものではないため、アメリカからVPNを使って海賊版サイトを見ることは可能だとの指摘もあります。
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