Windows 11には31年前の「Windows 95のメモリ管理機能」が今も隠されている

1995年に登場した「Windows 95」のメモリ管理機能が、2026年時点で最新バージョンのWindows 11にも残されていることが分かりました。古いソフトウェアを動作させるための互換機能「EmulateHeap」にWindows 95のプログラムが組み込まれており、必要に応じて実際に動作する仕組みになっています。Windows関連のニュースサイトであるWindows Latestが、30年以上前の機能が残されている理由を解説しています。
Why Windows 11 still ships with Windows 95’s memory manager hidden inside it
https://www.windowslatest.com/2026/10/19/why-windows-11-still-ships-with-windows-95s-memory-manager-hidden-inside-it/

Windowsでは新しいバージョンが登場するたびに機能や性能が改善されるとともに、古いバージョン向けに開発されたソフトウェアを引き続き利用できる「後方互換性」も重視されてきました。
後方互換性を維持するためにMicrosoftが取った対策の1つが、古いソフトウェアに合わせてWindowsの動作を変更するというものでした。代表的な事例が都市開発シミュレーションゲーム「シムシティ」です。
Windows 95は16ビット版シムシティの実行を検出すると特別なモードに入っていた - GIGAZINE

シムシティのWindows 3.x版には、一度解放したメモリを再び読み込んでしまう不具合がありました。通常、ソフトウェアはデータ保存に使用する分だけメモリを確保し、使い終わった領域を解放します。解放済みの領域は別の用途に使われる可能性があるため、以前のデータを読み込もうとするとソフトウェアが異常終了する場合があります。
シムシティはWindows 3.xでは問題なく動作していましたが、Windows 95のベータ版では正常に動かなくなりました。Microsoftは原因を調査し、シムシティの起動を検知するとメモリの解放を遅らせる特別な処理をWindows 95に追加したとのこと。ゲーム側の不具合をOS側で補うという対応によって、シムシティをWindows 95でも動かせるようにしたわけです。
Windows 95から後のバージョンへの移行でも、メモリ管理の違いによって古いソフトウェアが動作しなくなる問題が発生しました。Windows 95で偶然問題なく動いていたプログラムでも、新しいWindowsではメモリの確保や解放の仕組みが変わった影響で異常終了する場合があったというわけです。
Microsoftのエンジニアであるレイモンド・チェン氏は2010年の記事で、古いソフトウェアの互換性を維持するための「EmulateHeap」という機能を紹介しています。
Windows Confidential: A Trip Down Memory Lane with EmulateHeap | Microsoft Learn
https://learn.microsoft.com/en-us/previous-versions/technet-magazine/ff625273(v=msdn.10)

EmulateHeapはWindows 95のメモリ管理の動作を再現するための互換機能です。EmulateHeapを有効にしたソフトウェアがメモリの確保や解放を要求すると、通常の処理の代わりにWindows 95と同じように動作する処理を呼び出します。
なおMicrosoftはWindows 95のメモリ管理機能を一から作り直したわけではなく、Windows 95のメモリ管理機能のソースコードをコピーして再コンパイルし、互換性を維持するための仕組みに組み込んだとのこと。結果としてWindows 95のOS内部で使われていたプログラムの一部が後のWindowsにも引き継がれることになりました。
Windows Latestによると、EmulateHeapはWindows 11のバージョン26H2にも残されています。Microsoftが提供する「Windows Assessment and Deployment Kit(Windows ADK)」に含まれる「Compatibility Administrator」という管理ツールを利用すると、互換性を維持するための機能一覧からEmulateHeapを確認できるとのことです。

なお、Windowsの互換性も万能ではなく、互換機能を有効にしたゲームで音声が再生されなくなったり異常終了したりする問題が報告されているとのこと。
Windows 11ではユーザーインターフェースの刷新が進む一方で、古いソフトウェアとの互換性を守るためにWindows 95のプログラムも維持されており、実際にEmulateHeapを有効にすると31年前のコードが処理を行うようになっているわけです。
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in ソフトウェア, Posted by log1d_ts
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