Uberはドライバーがシフト途中でも強制的にアプリから締め出して賃金を抑えている
by Focal Foto
自動車配車プラットフォームのUberが、2019年にニューヨークで制定された給与ルールに従うために、需要が少ないタイミングでドライバーをアプリから締め出すという施策をとっていることが報じられています。
Uber Locks Out New York Drivers Mid-Shift to Lower Minimum Pay - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-06-24/uber-is-locking-out-new-york-city-drivers-mid-shift-to-lower-minimum-pay
Uber is locking New York drivers out of its apps and blaming a city pay rule
https://www.engadget.com/uber-is-locking-new-york-drivers-out-of-its-apps-and-blaming-a-city-pay-rule-204737818.html
Report: Apple Rejected Integration of Meta AI After Brief Talks
https://www.pymnts.com/gig-economy/2024/uber-responds-to-nyc-minimum-pay-rule-with-driver-lockouts/
ニューヨークではニューヨーク・タクシー・リムジン委員会(TLC)が2019年に「UberやLyftをはじめとする自動車配車プラットフォームに対し、客待ちの時間に応じてドライバーへ賃金の支払いを義務付ける」という(PDFファイル)規則を制定しています。
この規則に対抗するために、Uberは2024年5月から需要が供給を大幅に下回った場合に一部のドライバーをアプリから一時的に締め出すという施策を開始しています。Uberのドライバーとして働くニコロズ・ツルキッツェ氏は「1日のうち4~5回アプリから締め出されている」と報告しています。
客待ちの時間の賃金が支払われなくなったことで、ドライバーの収入は大きく減少。ツルキッツェ氏は「以前は10時間働くと300ドル(約4万7000円)~350ドル(約5万5000円)を稼げていました。しかし、今では10時間働いても170ドル(約2万7000円)しか稼げません。それに加えてガソリン代も支払う必要があり、ほとんどお金が稼げなくなっています」と語りました。
同じくUberのドライバーであるウェスリー・ドルサンビル氏も「以前は1回のシフトごとに300ドル~400ドル(約6万3000円)の手取りを得ていましたが、最近では170ドル~200ドル(約3万1000円)程度になっています」と述べています。
Lyftもこの施策に同調することを示唆しており、UberとLyftはアプリからの締め出し施策についてお互いとTLCを非難しています。Uberは「ニューヨークの規則は奇妙なことに、Lyftの失敗の責任をUberに負わせている」という立場を示している一方、Lyftは「現在のニューヨークの給与計算式は破綻しています。そこでUberは、Lyftに不利になるような規則変更を望んでいる」との見解を示しています。
一方でニューヨーク・タクシー労働組合のバイラビ・デサイ会長は「Uberがあまりに多くのドライバーを雇用したことがドライバーに対する苦難の根本的な原因です。UberはTCLの規則を利用して、客待ちの時間にドライバーをアプリから締め出すことで賃金の支払いを回避するようなシステムの悪用を行っています。組合は必要であればストライキを検討します」と非難しました。
海外メディアのPYMNTSは「今回の施策により、世界中のユーザーが好んで利用しているUberの利用料がさらに高価になるだけでなく、アクセスしにくくなるでしょう」と推測しています。
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