窓の下に3秒立つだけで物が買える真のウィンドウショッピングを実現する「DropOfAHat Zone」をAIを用いて開発した猛者が現る
エンジニアのジェームズ・スタインバーグ氏が、窓の外を歩いている人の頭上をAIで検出して自動で帽子を落とす「DropOfAHat Zone」を開発しています。スタインバーグ氏はこのシステムが真のウィンドウショッピングにつながると指摘し、「DropOfAHat Zoneを使えば忙しいニューヨーカーでもわずか1分で買い物を楽しめる」と豪語しました。
I am using AI to automatically drop hats outside my window onto New Yorkers
https://dropofahat.zone/
ニューヨーク市の中心部で暮らすスタインバーグ氏は、「8階か9階くらいにある高さの窓から誰かがパラシュートのついた荷物(鍵)を落とし、建物の下にいた人が落ちたものを拾って建物に入っていく様子」を見たことから、「窓の外に人が来たら帽子を落とす」というDropOfAHat Zoneを思いついたそうです。
実際にDropOfAHat Zoneが自動で外の通行人に向けて帽子を落とす様子は以下の通り。
Since its the #1 on hackernews, I thought I would share my new business here. I am using AI to drop hats outside my window onto New Yorkers. We are already open pic.twitter.com/kycHCeEctT
— James Steinberg (@j_stonemountain) June 23, 2024
窓の外に取り付けられたカメラで、道行く人々を検出しています。
人間の頭部を検出。
頭部を検出して3秒が経過すると、帽子を投下。
道行く人は帽子をゲットできました。
DropOfAHat Zoneを実現するのに必要なのは、(帽子を落とすための)窓・(落とす)帽子・(帽子を落とすための)機械・(帽子を落とす判断を下す)AIの4つです。帽子について、スタインバーグ氏は「誰かを傷つけたり、落下時に道路に飛び出したりしない帽子である必要があった」「未来を象徴するようなデザインである必要があると考えました。窓からあなたの頭上に優雅に落ちてくる、美しいものである必要があります」と記しており、この条件に見合うのが以下のようなカラフルなプロペラ付きの帽子だったそうです。
帽子を落下させるための機械は、Raspberry Piとステッピングモーター、カメラジンバルを用いて作成されています。カメラジンバルにステッピングモーターを取り付け、AIが「指定した位置に人間が立っていて帽子を受け取る準備ができている」と判断した際に、モーターを回転させることで帽子に取り付けられた糸を切断することで、帽子を下に落とします。
Since I want to encourage healthy competition, I have broken down how to build this yourself, you will need some yarn pic.twitter.com/fYM00kokar
— James Steinberg (@j_stonemountain) June 23, 2024
「指定した位置に人間が立っていて帽子を受け取る準備ができている」ためのAIは、「驚くほど早く完成した」とスタインバーグ氏は語っています。まずはAIのためにカメラジンバルにカメラを設置し、窓の外の道路を撮影。そして、撮影した映像を使ってAIモデルにオブジェクト検出を実行してもらうことで、「帽子をかぶっていない歩行者」を検出しています。「歩道の正しい部分に人がいる場合はその周囲にボックスをドラッグし、そうでない場合は『null』とマークしました」とスタインバーグ氏は記しました。
スタインバーグ氏が作成したAIモデルは以下から利用可能です。
Drop of a a hat Dataset > Overview
https://universe.roboflow.com/test-y7opj/drop-of-a-a-hat
そして、AIが「人が正しい位置に3秒間立っている」と判断した場合に、Raspberry Piを呼び出すプログラムをPythonで作成。これでDropOfAHat Zoneが完成するというわけです。
スタインバーグ氏は「私の家の窓の外では、非常に多くの人が行き来しています。太陽の下なのに帽子をかぶっていない人が大勢います。DropOfAHat Zoneは、多くのウィンドウ(窓)ベースの店舗の先駆けになると思います。DropOfAHat Zoneでは、忙しいニューヨーカーに5分の時間枠を予約して帽子の代金を支払ってもらい、私の家の窓の下に3秒間立ってもらいます。すると帽子が落ちてくるという寸法です。忙しいニューヨーカーでも1分以内に簡単にお買い物を楽しむことができます」と言及。さらに、「ニューヨーク市内を歩き回るだけで、必要なものが窓から落ちてくる世界を想像してみてください。これは私が住みたい世界そのものです。これが本物のウィンドウショッピングだと覚えておいてください」と語り、DropOfAHat Zoneが新しいショッピング体験をもたらすと強調しています。
なお、dropofahat.zoneにアクセスして画面右下にある「Stop window shopping and start window shopping!」をクリックすると、実際にカラフルなプロペラ付き帽子を購入することが可能。ただし、帽子を購入するための5分の時間枠は記事作成時点では7月いっぱいまで予約で埋まっており、8月分は記事作成時点では予約不可となっています。
スタインバーグ氏は「DropOfAHat Zoneの予約がいっぱいなので、帽子がもっと必要です」とXに投稿しています。
People are booking up the DropOfAHat Zone, I will need more hats
— James Steinberg (@j_stonemountain) June 23, 2024
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