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「刑務所の囚人の遺体から臓器を勝手に抜き出す」まるでB級映画のような恐るべき事態が横行している


アメリカのアラバマ州では「刑務所で亡くなった囚人の臓器が消える」という出来事が複数回にわたって報告されています。この恐るべき事態を「あまりに残酷でまるでB級映画のよう」と表現したピューリッツァー賞を2度受賞した作家であり記者でもあるジョン・アーチボルド氏が、アラバマ州で一体何が起きているのかを説明しています。

Archibald: Alabama prisoners’ organs vanish, and there’s a whole lot of passing the buck. And the bodies. - al.com
https://www.al.com/news/2024/02/archibald-alabama-prisoners-organs-vanish-and-theres-a-whole-lot-of-passing-the-buck-and-the-bodies.html


2023年7月21日、ライムストーン矯正施設でケビン・ムーア氏がフェンタニルの過剰摂取で死亡しました。ムーア氏の母親は、息子と電話で話をした90分後に矯正施設の牧師から訃報を伝えられたため、不審に思い質問したところ「誰がムーア氏のことを気にしているんですか?」と牧師に言われたそうです。

ムーア氏は拘留中に死亡したため、まずはアラバマ州の矯正局が検視を行い、その後、母親のもとに帰ってきました。母親がムーア氏の葬儀の準備を進めていたところ、葬儀屋からムーア氏の内蔵の大部分が摘出されていることを指摘され、ここで息子の遺体から臓器が抜き取られていることに気付いたそうです。

2023年11月16日、アラバマ州のヴェントレス矯正施設でブランドン・クレイ・ドットソン氏が死亡しました。ドットソン氏の遺体からは心臓が抜き取られていたため、同氏の家族は裁判所でアラバマ州の矯正局を訴えています。ドットソン氏の家族によると、遺体から心臓が抜き取られていただけでなく、当局から遺体を返却してもらうのに「なぜか数日の時間がかかった」そうです。

他にも、2021年11月にアラバマ州のハミルトン高齢者・障碍者刑務所に収監されていたチャールズ・シングルトン氏が死亡し、アラバマ大学アラバマ校で検視されたのちに家族のもとへ遺体が返却されたのですが、シングルトン氏の遺体からも複数の臓器がなくなっており、特に脳が欠けていることが話題を呼びました。


囚人の遺体から臓器が消える理由について、アーチボルド氏は「アラバマ州ではどうやらアラバマ大学バーミンガム校とアラバマ州法医学部を中心として、収監された人々の遺体を使った医学研修が行われているようです」「囚人の遺体が人間性をはく奪され、労働や気まぐれや科学の進歩のために搾取(さくしゅ)されているのは、囚人を人間ではなく犯罪者として扱っているからにほかなりません」と指摘しています。

2018年にはアラバマ大学バーミンガム校の医学生グループが「拘留中に死亡した囚人の遺体から同意なしで臓器を摘出する」というプロセスに疑念を抱き、指導医師に対して「この臓器調達プロセスの法的および倫理的状況と標本の教育的使用について」説明を求めたこともあります。連邦裁判所にはこの時の記録が法的文書として残されていますが、医師側の説明に医学生グループは「あまり満足していなかった」と記載されているそうです。


この議論の中で、医師側は臓器摘出を「囚人に対して法律で義務付けられている検視の一部」と説明しています。そして、未来の医師となる医学生たちの教育に囚人の臓器を使用することは「将来の患者の利益になる」とも説明されています。なお、臓器を使用することができない場合は、そのまま臓器が破棄されると説明されていました。

また、医師側は囚人の死に関するものではない民間の剖検では、家族が臓器の使用を許可しないケースがあると医学生に説明しています。しかし、アラバマ大学バーミンガム校の倫理学者によると、2011年から2024年までにアラバマ大学バーミンガム校で行われた3000件以上の剖検のうち、遺体を教育目的で検体として取り扱うことが拒否されたのはわずか4件のみだったそうです。

問題は囚人の家族にはそのような確認が一切行われないことであり、家族が知ったのは愛する人の死と、一部が欠けた遺体のみであるとアーチボルド氏は指摘しました。


アラバマ州で囚人の遺体から臓器が消えていることは大きな問題になっていますが、アラバマ大学バーミンガム校は地元メディアのAL.comに対して「適切な州当局から同意または許可を得た場合にのみ解剖を実施しています」「アラバマ州矯正局は故人の法定代理人から適切な許可を得る責任があります。許可書には解剖の許可を与えるだけでなく、診断や最終処分を含むその他の検査のために臓器や組織を除去することへの同意も具体的に含まれています」と説明し、アラバマ州矯正局に責任をなすりつけるような声明を出しています。

一方で、アラバマ州矯正局は「アラバマ州矯正局は解剖を認可したり実行したりしません。受刑者が死亡すると、遺体は解剖のためにアラバマ州法医学局やアラバマ大学バーミンガム校に輸送されるのみです」と述べ、囚人の遺体から臓器が消えている事態と矯正局の関係を否定しています。

アラバマ大学バーミンガム校とアラバマ州矯正局はどちらも責任を相手に押し付けるような声明を出しているわけですが、アラバマ大学バーミンガム校の元医学生は、「教員医師は刑務所の所長が解剖要請書に記入する際、教育や研究目的での臓器使用に関する確認事項をほとんどチェックしていないと我々(医学生)に説明しました」とAndscapeに語っています。

上記の通り、アラバマ州矯正局とアラバマ大学バーミンガム校は互いに責任をなすりつけるような声明を出しています。この状況について、アーチボルド氏は「関係者はどこも責任転嫁ばかり」と言及し、問題は囚人の遺体の臓器をどのように利用するかについて遺族に確認を取るプロセスが存在しないことと指摘しています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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