DDR5メモリの規格更新で最大データ転送速度が8800Mbpsに拡張されアンチロウハンマー機能が追加される
2024年4月17日、半導体技術標準化団体のJEDECがDDR5に関する規格を更新しました。新規格では、転送速度が従来の6800Mbpsから8800Mbpsに引き上げられたほか、ロウハンマー攻撃に対応するためのアンチロウハンマー機能が追加されました。
JEDEC Updates JESD79-5C DDR5 SDRAM Standard: Elevating Performance and Security for Next-Gen Technologies | JEDEC
https://www.jedec.org/news/pressreleases/jedec-updates-jesd79-5c-ddr5-sdram-standard-elevating-performance-and-security
JEDEC Extends DDR5 Memory Specification to 8800 MT/s, Adds Anti-Rowhammer Features
https://www.anandtech.com/show/21363/jedec-extends-ddr5-specification-to-8800-mts-adds-anti-rowhammer-features
記事作成時点で広く使われているDRAM規格のDDR5の仕様をJEDECが発表したのは2020年7月のことで、製品化時点でのDDR5の最大データ転送速度は6400Mbpsに達するとされていました。
次世代メモリの標準規格「DDR5」の最終仕様をJEDECが発表、DDR4から何が進化したのか? - GIGAZINE
しかし、近年では技術の進歩に伴ってより高速なメモリが製造可能になっています。そして2024年4月17日、JEDECはDDR5に関する規格を更新。DDR5規格を「JESD79-5C」と名付けました。
JESD79-5Cでは、最大データ転送速度が従来の6800Mbpsから8800Mbpsに引き上げられています。これは従来含まれていなかった一部のメモリタイミングのサポートを含めることで実現しているとのこと。
また、I/Oトレーニング最適化のための「Self-Refresh Exit Clock Sync」と呼ばれる機能の追加や、Dual-Die Package(DDP)タイミングの組み込みが実施されています。
さらに、メモリを標的としたロウハンマー攻撃からメモリIPを保護するためにメモリコントローラーに介入する「アンチロウハンマー」機能も追加されました。アンチロウハンマー機能の1つの「Per-Row Activation Counting(PRAC)」では、メモリ行がアクティブ化された頻度をカウントすることが可能で、この情報を使用してメモリコントローラーが過度にアクティブ化されたメモリ行を把握し、適切な更新を行うことでデータを安定させることが可能になります。
なお、更新されたDDR5規格では、セキュリティ上の懸念を理由に「Partial Array Self-Refresh(PASR)」と呼ばれる機構のサポートが排除されています。
JEDECの取締役会会長を務めるミアン・クドゥス氏は「DDR5規格を前進させるためのJEDECによる取り組みを発表できることを喜ばしく思います。JESD79-5Cでは、幅広いアプリケーションにおけるセキュリティ向上や信頼性の向上、性能向上など、進化し続けるテクノロジー業界の要求をサポートすることを目的としています」と述べています。
またJEDECの第42委員会のクリストファー・フォックス委員長は「今回のDDR5規格のアップデートには、DRAMデータを保護するための包括的なソリューションであるPRACの追加が不可欠でした。第42委員会では、PRACをJEDEC内の他のDRAM製品に組み込むための作業が進行中です」と報告しています。
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