サイエンス

出席番号が遅いほど成績が低くなる現象が報告される


採点者が連続して課題を採点すると、後になるほど低い点数を付ける傾向にあることがわかりました。大抵はアルファベット順で採点されるため、結果としてアルファベット順で後ろに並ぶ人ほど点数が低くなり、平均0.6点ほどの差が生まれてしまうそうです。

30 Million Canvas Grading Records Reveal Widespread Sequential Bias and System-Induced Surname Initial Disparity by Zhihan (Helen) Wang, Jiaxin Pei, Jun Li :: SSRN
https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4603146


Study: Alphabetical order of surnames may affect grading | The University Record
https://record.umich.edu/articles/study-alphabetical-order-of-surnames-may-affect-grading/

ミシガン大学の研究者が同大学における3000万件以上の成績評価記録を分析したところ、アルファベット順で後ろの方に並ぶ名前の学生は前に並ぶ学生に比べて成績が低いことが判明しました。


研究を実施したヘレン・ワン氏らによると、A、B、C、D、Eで始まる姓を持つ学生の評定は平均して0.3点高く、反対にU、V、W、X、Y、Zから始まる姓を持つ学生は平均0.3点低い傾向にあったそうです。

さらに、アルファベット順で後ろに並ぶ学生は教授陣から著しく否定的でぶしつけなコメントをもらう可能性が高く、評定発表後に質問や再評定要求を行う割合も高いことがわかりました。


この現象は正確には「最初の方に採点されるほど点数が高く、後になるほど点数が低くなる」というものです。ただし、大抵の教育機関がアルファベット順に採点しているため、どうしても名前によって偏りが生まれてしまう模様。実際、並び順をバラバラにすると名前による偏りは減り、ZからAへ逆順に採点するとAの方が点数が低くなったそうです。

ワン氏らは仮説として「採点者はより多くの課題を採点するにつれて誤りを発見する能力が向上するか、長時間何かに取り組んでいると疲れてきて集中力が低下してしまうのではないか」と指摘しました。


ワン氏は「結論としては、今回の研究で見られたような偏りが採点者の無意識のうちに起こり、それが実際に社会的影響を及ぼしている可能性があるということです。0.6点の差は小さいかもしれませんが、評定とGPA、ひいては留年率に大きな影響を及ぼします。名前による偏りを減らすための最も簡単な解決策は採点順をランダムにすることで、大規模なクラスでは採点者を増員するのも手です」と語りました。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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