インターネットアーカイブがカリブ海の島「アルバ」と協力して10万点超の歴史的資料をデジタルアーカイブとして公開
さまざまなウェブページやデジタルコンテンツの保存活動を行う非営利団体のインターネットアーカイブが、カリブ海に浮かぶオランダ領アルバの公的機関と協力し、アルバにまつわる10万点超の歴史的資料をデジタル化して公開しました。「Coleccion Aruba」と名付けられたこのデジタルアーカイブは、インターネットアーカイブのウェブサイトを通じて世界中のどこからでも閲覧可能です。
Coleccion Aruba : Free Texts : Free Download, Borrow and Streaming : Internet Archive
https://archive.org/details/aruba
Aruba Launches Digital Heritage Portal, Preserving Its History and Culture for Global Access | Internet Archive Blogs
https://blog.archive.org/2024/04/08/aruba-launches-digital-heritage-portal-preserving-its-history-and-culture-for-global-access/
南米ベネズエラの沖合に浮かぶアルバは高度な自治権が認められたオランダ王国の構成国であり、もともとベネズエラから移住したアラワク族のインディアンが住んでいました。1499年にヨーロッパ人が到達して17世紀にはオランダの植民地となり、20世紀前半には原油積み替え施設や製油所が作られて栄えたそうで、1986年に単独の自治領として独立しました。
海外メディアのWIREDによると、2018年にインターネットアーカイブの職員が「毎年休暇を過ごしていたアルバの歴史保存に貢献できないだろうか」と考え、アルバ国立図書館の研究者であるピーター・ショリング氏に連絡を取ったことで、アルバの歴史的資料を保存するプロジェクトが始動したとのこと。
それ以降、アルバ国立図書館やアルバ国立公文書館は協力して新聞や政府報告書、文化財などの遺物を収集してデジタルスキャンを行ってきました。ショリング氏が「アルバには移民・植民地化・奴隷制による厳しい過去があります。つまり、離散した人々が世界中に散らばっているということです。私たちのコレクションや文書についても同じことが言えます」と述べている通り、アルバに関する資料はカリブ海諸国や南米、アメリカなどに散らばっていたそうです。
もともと、人口わずか11万人のアルバには、堅固なデジタルライブラリで資料を閲覧可能にするための十分なリソースがありませんでした。しかし、長年にわたる運用実績と豊富なリソースを持つインターネットアーカイブとつながることで、この問題を解決することができました。アルバ国立公文書館の責任者であるレイモンド・ヘルナンデス氏は、「小さな島国という現実のせいで、大企業のサーバーのための資金はあまりありません。予算が限られていると不可能です。インターネットアーカイブのおかげで、夢がかないました。感謝の気持ちでいっぱいです」とコメントしています。
「Coleccion Aruba」と名付けられたデジタルアーカイブはインターネットアーカイブによってホストされており、約4万件の文書、6万枚もの画像、900個の動画、45個のオーディオファイル、7個の3Dオブジェクト、67個のテーマ別コレクションが含まれています。
実際に「Coleccion Aruba」にアクセスすると、以下のようにさまざまな資料がコレクション別ごとに表示されます。試しに「Slavery(奴隷制)」に関連するコレクションをクリック。
すると、奴隷制にまつわるさまざまな資料が閲覧できます。
左側のタブで資料の年代やメディアタイプを選択し、表示する資料を絞り込むことも可能です。
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