Metaの動画共有サービス「Facebook Watch」はNetflixの広告を販売するためにサービスを終了したとの指摘
Metaが2017年からアメリカ合衆国で展開しているビデオオンデマンドサービスの「Facebook Watch(現Facebook Video)」において、Netflixからの広告収入を維持するためにサービスを縮小したと主張する文章が裁判所に提出されていたことが分かりました。
(PDFファイル)gov.uscourts.cand.369872.739.0_1.pdf
https://storage.courtlistener.com/recap/gov.uscourts.cand.369872/gov.uscourts.cand.369872.739.0_1.pdf
Facebook let Netflix see user DMs, quit streaming to keep Netflix happy: Lawsuit | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2024/03/netflix-ad-spend-led-to-facebook-dm-access-end-of-facebook-streaming-biz-lawsuit/
2023年4月にMetaはFacebook Watchのオリジナルコンテンツ制作をやめると発表し、ストリーミングビジネスから事実上の撤退を行いました。この撤退はMetaが進めているコスト削減策の一つだとされていましたが、2020年より続いている集団訴訟のなかで「ストリーミングビジネスからの撤退はNetflixと良好な関係を築くため」と主張する文章が提出されていたことが分かりました。
今回の文章は2023年4月14日に提出されたもので、2024年3月23日に裁判所より公開され、存在が明らかになりました。書類によると、NetflixのCEOであるリード・ヘイスティングス氏は2011年から2019年までFacebookの取締役会の一員であり、FacebookとNetflixが親密な関係を結ぶのに力を注いでいたとのこと。この期間中、Netflixは数億ドル(数百億円)規模の広告契約と引き換えにFacebookユーザーのプライベートメッセージ受信箱へのアクセスを含む特権的な分析ツールを利用するなどFacebookの広告部門での存在感を高めることでFacebookのストリーミングビジネスからの撤退を後押ししたと今回の文章では主張されています。
2017年にFacebook Watchのサービスが開始されて両社が競合しそうになった際には、ヘイスティングス氏は「まだ大きな紛争は起こっていない」「私たちは同じ番組に入札しているわけではない」と述べていました。
FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏は2018年5月にFacebook Watchの責任者に「予算を7億5000万ドル(約1100億円)削減する」とメールしており、同社のストリーミングビジネスへの意向は10億ドル(約1510億円)以上の予算を費やしていた2016年・2017年からわずか1~2年の間に大きく方針が変更されました。この期間中にNetflixはFacebookへの広告費支出を1億5000万ドル(約227億円)へと増やし、データ分析を強化する契約を結んだと推測されています。
2019年にはNetflixのFacebookへの広告費支出は2億ドル(約300億円)を超えていたとのこと。なお、2019年後半にヘイスティングス氏はFacebookの取締役会を去りました。
今回の文章が提出されたFacebookへの集団訴訟はまだ係争中です。
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