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MetaがFacebookグループへのサードパーティーアクセスを突如廃止、開発者とユーザーからは悲鳴


2024年1月23日、Metaは突如「FacebookグループAPIを間もなく廃止する」と発表しました。これにより、同APIを利用するツールを開発していた企業や、ソーシャルメディアマーケティング担当者が混乱に陥っています。

Meta cuts off third-party access to Facebook Groups, leaving developers and customers in disarray | TechCrunch
https://techcrunch.com/2024/02/05/meta-cuts-off-third-party-access-to-facebook-groups-leaving-developers-and-customers-in-disarray/


2024年1月23日、Metaは「FacebookグラフAPI v19.0」を発表しました。MetaはFacebookグラフAPI v19.0の発表に伴い、FacebookグループAPIの廃止も発表しています。FacebookグループAPIはv19で廃止され、90日以内にすべてのバージョンから削除されることとなります。この廃止には、FacebookグループAPIに関連付けられたすべてのアクセス許可(publish_to_groups、groups_access_member_info)とレビュー可能な機能(グループAPI)が含まれるそうです。

FacebookグループAPIの廃止について、Metaは「グループAPIの主な使用方法はグループ内での非公開返信でした。v19で提供が開始されるほかの変更により、開発者はグループAPIをまったく使用することなく、この使用方法に対応できるようになります。ほとんどの非公開返信の開発者にとって、v19で行うべき変更はありません。非公開返信Webhookの受信後にグループAPIを通じてグループ投稿エンドポイントへの呼び出しを使用していた開発者は、そのようなリクエストに対してページアクセストークンを使用する必要があります」と記しています。

例えば、中小企業はFacebookグループに投稿した人、またはグループ内でコメントした人にひとつのメッセージを送信したい場合、これまではグループAPIを通じてメッセージを送信できました。FacebookグラフAPI v19.0のリリースに伴い、今後はFacebookグループAPIなしでもこの機能が有効になるとMetaは説明しています。

FacebookグラフAPI v19.0とマーケティングAPI v19.0の紹介
https://developers.facebook.com/blog/post/2024/01/23/introducing-facebook-graph-and-marketing-api-v19/


しかし、FacebookグループAPIの廃止により、Facebookへの投稿をあらかじめ予約しておくサービスなどを提供する企業は、スケジュール投稿システムが正常に動作しなくなり大きな問題に見舞われると開発者は指摘しています。例えば、ソーシャルメディアへの投稿を予約することができるツールを提供するVipeCloudのアダム・ピーターソンCEOは、FacebookグループAPIの廃止は「総収益の約8%に顕著な影響を与える可能性がある」と語りました。

ピーターソンCEOによると、VipeCloudは約5000件のFacebookアカウントにスケジュール投稿機能を提供しているそうです。VipeCloudの顧客はFacebookページに投稿するためのFacebookグループAPIを利用していますが、チームとコミュニケーションを取るためにグループ上に非公開でコンテンツを投稿するケースもあるそうです。グループ上にコンテンツを非公開で投稿する理由について、ピーターソンCEOは「中小企業がFacebookグループをSlackの代用品として使用するケースが多くあるためです」と説明しています。


ピーターソンCEOは「企業はチーム構築やチームのモチベーション維持などのためにFacebookグループへの投稿を行いますが、この投稿は代理店に頼るケースが多いです。そして、そういった代理店にとっては予約投稿がビジネスのすべて、つまりはこれで生計を立てているケースが多くあります」とも語っています。

VipeCloudの競合企業の中にはベンチャーキャピタルから投資を受けていない企業も多くあるため、FacebookグループAPIの廃止により苦境に立たされることとなる企業も少なからず現れるとピーターソンCEOは指摘。「競合企業の中には潰れることになる企業もあるでしょう。たとえ我々が彼らと競争したとしても、それは決して見ていて楽しいものではありません。むしろサービスや製品などで勝ちたいです」と語りました。


他にも、Facebookでオンラインパーティーを気軽にスケジュールすることができるというサービス・PostMyPartyも、FacebookグループAPIに依存しているサービスのひとつです。PostMyPartyのオーナーであるダニエル・バージ氏は、「7年間の仕事と1万人以上の顧客をMetaのAPI廃止によって一瞬で失うこととなります。これによる数百万ドル(数億円)の損失と、我々のサービスを利用しているすべての顧客への影響については言うまでもありません」と語りました。

バージ氏によると、PostMyPartyはFacebookグループ上でオンラインブートキャンプを開催しているフィットネスコーチや、ソーシャルネットワーク上で営業を行っている在宅勤務ワーカー、コーチングサービスなどを提供する小規模零細企業などに利用されているそうです。

バージ氏は「Metaがこのようなことをするのは今回が初めてではありません。何年も前に、Metaは何の通知もなくイベントAPIを突然廃止しました。ある日すべてが崩壊したことを覚えています。顧客から何千件ものサポートリクエストが寄せられ、その時も我々のビジネスはほぼ崩壊状態になりました」と語り、Metaが何の通知もなく突如APIを廃止するのは今回が初めてのことではないと指摘しています。


Metaの認定コミュニティマネージャーであるモーリス・W・エバンス氏は、今回のFacebookグループAPIの廃止は中小企業・開発者・デジタル市場に大きな課題をもたらすだけでなく、Metaの運営哲学における極めて重要な変化を意味すると指摘しています。

さらに、エバンス氏は「Facebookグループへのサードパーティーのアクセスが削除されると、デジタル環境が大きく変化し、コミュニティ管理者と企業の両方にとって障害と機会の両方が生まれる可能性があります。私はMeta認定コミュニティマネージャーとして、これらのツールが活気に満ちた熱心なオンラインコミュニティの育成にもたらす価値を直接見てきました。この変化は、私たちの戦略における適応性と革新性の必要性を強調しています」とも語りました。

ウェブサイトのデザイン会社であるArcher Web Designは、FacebookグループAPIの廃止について「Facebookによる衝撃的な発表です。FacebookはグループへのサードパーティーAPIサポートを廃止します。これにより、企業やソーシャルメディアマーケティング担当者は石器時代へと放り込まれることとなります」と投稿しました。


Metaの開発者向けフォーラム上でも複数の開発者がAPIの廃止を嘆いており、ある開発者は「私のアプリはFacebookグループAPIに依存しているため、APIが廃止されれば基本的に全く機能しなくなります」と記しています。

また、Facebookグループへの投稿が、今後ページアクセストークンを使用して行えるかどうかについて、Metaが明確に説明していない点について不満を抱いている開発者も多くいます。ただし、記事作成時点でMetaは開発者向けフォーラム上で開発者のコメントに返答しておらず、どのような仕様になるかは謎のままです。

そのため、ある開発者は「進行中のプロジェクトと間もなく開始されるプロジェクトに影響がでるため、何をしたらいいか全くわかりません」と投稿しています。

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in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by logu_ii

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