セキュリティ

ネット上から個人情報を削除するサービスを提供する企業がネット上の人事情報を検索するサービスも運営しているとの指摘


検索結果から個人情報を削除するサービスを提供しているデータプライバシー企業のCEOが、その裏で数十の人事調査サービスを運営していることを、セキュリティ専門家が指摘しています。

CEO of Data Privacy Company Onerep.com Founded Dozens of People-Search Firms – Krebs on Security
https://krebsonsecurity.com/2024/03/ceo-of-data-privacy-company-onerep-com-founded-dozens-of-people-search-firms/


セキュリティ専門家で情報ブログ「KrebsonSecurity」を執筆しているブライアン・クレブス氏が、バージニア州に本拠を置くデータプライバシー企業「Onerep」の問題を指摘しました。

Onerepは、個人の場合は月額8.33ドル(約1240円)、家族だと月額15ドル(約2240円)で、200以上の検索エンジンから個人情報を削除してくれるというサービス。このほか法人向けに、従業員情報検索サイトから継続的にデータを削除するサービスも提供しています。


クレブス氏によると、Onerepの創業者兼CEOはディミトリ・シェレストという人物で、ベラルーシのミンスク出身。シェレスト氏の名前や過去に使用していたメールアドレスなどをデータ侵害追跡サービスで調べると、Onerepの情報削除対象サービスに含まれている人事情報検索サービスの「Nuwber」の創業者であることがわかったそうです。

Onerepの「About Us」ページに掲載されているシェレスト氏


Onerepにまつわる疑惑については2017年、データプライバシー企業としてライバルにあたるPrivacyDuckが、自社サービスとOnerepを比較する特設ページを作って「Onerepはベラルーシが本拠で、アメリカでは検証可能な実績がない」と述べた上で、「過去に個人情報をネット上に表示していたところを通報されたことがあり、その後も、姉妹サイトのNuwberで個人情報の表示を続けている」と指摘しています。

PrivacyDuck vs OneRep.com (the Eastern European Privacy Company) | PrivacyDuck
https://www.privacyduck.com/comparisons/privacyduck-vs-onerep-com-the-eastern-european-privacy-company/


しかし、当該ページはサイトリニューアル等に伴って削除されています。またクレブス氏は、Onerepのサイト内容はInternet Archiveから完全に削除されているため、過去にサイト上に個人情報掲示を行っていたかどうかは検証ができないと述べています。ただ、シェレスト氏がロシア語で最大の薬品スパムアフィリエイトキャンペーンに携わっていた過去があるのは確実だとのこと。

クレブス氏の問い合わせに対して、シェレスト氏もOnerepも沈黙を貫いています。

なお、ウェブブラウザ「Firefox」開発元として知られるMozillaは、サブスクリプションサービスとして提供しているデータ流出チェック機能「Mozilla Monitor」のデータ削除においてOnerepのサービスを利用しています。Mozillaはクレブス氏からの問い合わせに対して、「Onerepのサービスの評価を行い、Mozillaのプライバシー原則に従って機能することを確認しました」「(クレブス氏の)記事で名指しされた存在と過去に提携していたことは認識しており、(Mozillaと)共同作業する前に提携を終えることが保証されました」「さらに調査を行います。我々は常にお客様のプライバシーとセキュリティを第一に考え、必要に応じて更新を提供します」と回答したとのことです。

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in セキュリティ, Posted by logc_nt

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