オンラインでストーキングして個人情報を公開すると脅迫する「Doxxing」から身を守る方法
さまざまな政治思想に基づいて活動する人にとって、誰でもアクセスできるインターネットは自分の意見を世界全体に主張するために重要な場になっています。しかし、インターネットには多くの情報があふれており、個人情報を収集して脅迫するような悪意のある人も存在しています。インターネット上の個人情報を基にストーキングされ嫌がらせされる「Doxxing」について、活動家ネットワークのCrimethIncが解説しています
CrimethInc. : Doxcare : Prevention and Aftercare for Those Targeted by Doxxing and Political Harassment
https://ja.crimethinc.com/2020/08/26/doxcare-prevention-and-aftercare-for-those-targeted-by-doxxing-and-political-harassment#what-is-doxxing
◆Doxxingとは?
CrimethIncによれば、Doxxingとは、暴露や脅迫を意図して政治思想が対立する相手の個人情報を公開することだそうです。Doxxingはターゲットの行動を思いとどまらせ、その思想や価値観をおとしめ、物理的にも精神的にも追い詰めた上で、経済的な損害を与える可能性があります。
また、単に個人情報を公開するだけでなく、所属しているコミュニティやいつも通っている場所、普段の活動から勝手に「この人は極右の思想を持っている」「この人はANTIFAの活動家だ」などとレッテル貼りをされ、根拠もなく政治的な論争に巻き込まれることもあります。Doxxingをする人にとっては、その情報が正しいかどうかは関係なく、数少ない情報からネット上で嫌がらせさえできればよいからです。
◆わずかな予防策で大きく改善する
Doxxingから身を守るための基本的な対策の1つが、ネット上に情報の痕跡を残さないことを意識することです。自分に関する情報を誰からも見つけられないようにするには、もちろん何も公開しないことが一番ですが、仕事や家庭などさまざまな理由でオンライン上から情報を消すことができない人もいます。例えば、ソーシャルメディアのアカウントを持つことは、国境を越えてさまざまな人とコミュニケーションを取るのに役立ちます。
複数のアカウントを使い分ける時に大事なのが、それぞれのアカウントはパブリックなものかプライベートなものなのかをしっかりと把握することです。そのため、いかにインターネット上にある情報を統制できるかが重要になります。
そして、自分の身辺を整理し、使っていないアカウントを削除することも重要です。Google、Twitter、Facebookなど複数のソーシャルメディアにアカウントを持っている人は多くいますが、実際にそれらのアカウントすべてをフルに使いこなしているという人は少ないはず。Doxingではさまざまなソースから個人情報が収集されるので、Doxingの被害を減らすためには、例えば以下の点に留意し、互いに関連付けないようにすることが重要だとCrimethIncは述べています。
・複数のアカウントのIDに自分の本名の一部や誕生日を使っていないか?
・複数のアカウントで同じメールアドレスやパスワードを使っていないか。
・ソーシャルメディアで自分の本名を検索すると何が出てくるか。
・自分の顔写真をソーシャルメディアに投稿していないか?
・複数のアカウントで同じ画像をアップロードしていないか。
・自分の政治思想についてオンライン上に投稿していないか。
・過激な内容を発信するアカウントにいいね!をしていないか。
・同僚や家族、活動家の知り合いと同じアカウントでつながっていないか?
・自分の家族や親戚とはどの程度オープンな付き合いがあるのか。
・パブリックとプライベートの線引きをどう設定しているのか。
・勤めている企業は政治思想をオープンにすることを認めているか。
自分の個人情報がネットに散乱しないように統制する方法としては、以下の方法が考えられます。
・1PasswordやLastPassといったパスワードマネージャーでユーザーID・メールアドレス・パスワードを一括で管理する。
・インターネット上に自分の情報がどれだけあるのかをOnerepなどのサイトで検索して把握する。お金に余裕があれば削除してもらうサービスを利用する。
・特定のユーザー名が使用可能かどうかをチェックできる「Namechk」を使って、自分がどのプラットフォームでアカウントを作っているのかを把握する。
・アカウントの一覧を把握したら、ウェブサービスからアカウントを削除するためのリンクとその難度を教えてくれるサイト「justdelete.me」を使い、不要なアカウントを削除する。
・ユーザーデータの流出を調べられる「Haveibeenpwned.com」でIDとパスワードが流出していないかどうかをチェックする。
また、ソーシャルメディアのアカウントに掲載しているプロフィールをチェックして、自分自身や自分のペット、車、タトゥー、その他個人に直結するような識別情報を含む画像をすべて削除することも求められます。さらに自分の個人情報を削除するだけではなく、あえて不正確な情報を登録するのも有効。例えば誕生日や出身地、出身校などにあえてウソをまぜるのも手だとCrimethIncは述べています。
◆もしDoxxingの被害に遭ったら
Doxxingに遭った場合、すぐに公表して警告したり、すべてのアカウントを削除したりしがち。しかし、こうした行動は周囲が擁護してくれる場合は有効ですが、不特定多数から攻撃を受けて孤立無援になっている場合は火に油を注いでしまう可能性があります。また、公の場で発言する場合、暴力や自衛のための武器などを誇示したり、自分の凶暴性を誇張したりすると、これもまたより不利な状況に陥ってしまう可能性があります。
直接または間接的に嫌がらせをする人に話しても、問題は改善されません。自分の倫理や信念を主張するポジティブな声明を出し、自分のアイデンティティや理想がどのように標的になっているかを説明し、「嫌がらせは自分を萎縮させることを意図していますが、自分は負けません。なぜなら自分の政治思想を隠す理由がないからです」と主張するべきだとCrimethIncは述べています。
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