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デジタルデータの保存に取り組む組織が語る「ウェブサイトの10の死因」とは?


デジタル保存とウェブアーカイブの専門団体であるArchive Teamが、「ウェブサイトが閉鎖されてコンテンツが完全に削除されるパターン」として10項目を挙げています。

A Million Ways to Die on the Web - Archiveteam
https://wiki.archiveteam.org/index.php/A_Million_Ways_to_Die_on_the_Web


Archive Teamは2009年に「コンテンツの生殺与奪を企業の手に委ねているということに対する怒りと無力感から出発しました」としてプログラマーやアーキビスト、ライターなどが集まってつくられたチームです。損失の危険にさらされているデジタルデータの保存を目的としているほか、データやデジタルコンテンツを保存するアドバイスも提供しています。

Archive Teamは「ウェブ上での100万通りある死因」というページで、ウェブサイトが消滅してコンテンツが完全に使用不能になる主要なパターンを10項目挙げています。

・01:放棄
サービスを作成したA社がB社に買収され、B社のサイトにA社のサイトが統合された場合、数年経って従業員の退職や配置転換が行われた結果、サービスの更新が完全に停止することがあります。そして、もはや管理の費用や労力を費やす価値がないと判断され、A社のウェブサイトは閉鎖されます。この例として、Archive TeamはYahooに買収されたWeb ホスティング サービスのGeoCities、Operaブラウザ用のSNSであるMy Operaを挙げています。

・02:競合他社
限られた市場でサービスを運営している場合、同様のサービスを行う後発のより大きい企業によって、ユーザーのほとんどを飲み込まれてしまう場合があります。例えば、2002年に設立されたFriendsterは、写真やコメントを投稿するタイプのSNSとしては初期のサービスであり、当初は高い人気を得ていましたが、SNSの多様化によって勢いを失い、2011年には削除されました。


・03:予算と収益
ウェブサイトは単純なものなら誰でも簡単に作成してリリース可能ですが、サービスの維持や更新には手間や金がかかります。利益を上げることができない場合、ウェブサイトは閉鎖していきます。また、あるサービスが予想外に短期間で人気を獲得した場合に、サーバーやハードディスクに予算を割こうという業務上の判断がされなかったことで、急速な成長が理由となってサービスが終了するケースもあるとのこと。

・04:新バージョンに移行
問題なくサービスを継続していたサイトを、新しいバージョンに大きく更新した場合、古いバージョンにしか存在しなかったデータは削除されることがあります。その方向転換は、必ずしもユーザーにとって良い変化となるわけではありません。

・05:買収
買収はサービスの継続が難しい会社にとって助けとなることもありますが、買収された結果特定のウェブサービスが終わることもあります。Associated Contentというエッセイやニュースなどを配信するサービスは、2010年にYahoo!に買収されYahoo Voicesとなった後、2011年にYahoo!が実施した組織再編やポリシーの変更に基づき、約7万5000のアイテムが削除されました。その後、2014年にYahoo Voicesは閉鎖しています。

・06:Yahoo式閉鎖
買収した結果に元会社のサービスが閉鎖されるケースはありますが、会社によっては自社のサービスとの関連などをほとんど考えずにとにかく買収を進めたり、買収した会社のサービスをまるでランダム選んでいるかのごとく不規則に閉鎖することもあります。Archive Teamはこれを「Yahoo式」と呼んでおり、その閉鎖を予測してあらかじめコンテンツのバックアップを取っておくことが重要だと述べています。

・07:個人的なトラブル
ウェブサイトの中には少数のグループもしくは個人が運営しているものもあります。その場合、所有者の死亡や心境の変化、赤字のサービスを継続できなくなったという理由などでサイトが閉鎖されます。

・08:検閲
YouTubeやSNSなどに投稿されたオンラインコンテンツの場合、サービス運営者の検閲によって削除されるケースが多々あります。基本的には利用規約に違反していることが削除の原因となりますが、YouTubeなどアルゴリズムによって検閲を実施している場合は、誤って削除が行われて二度と見れなくなったケースも報告されています。

・09:定期削除
主に英語圏を対象とした画像掲示板の4chan、オンライン画像サービスのImgurは、1年ごとに新しいデータセンターを構築するタイミングで、最も古いデータを定期的に削除することで知られています。古い投稿をずっと放置していると突然見ることができなくなるケースがあるため注意が必要です。


・10:関連データ
例えば、とあるYouTube動画を投稿者が削除した場合、その動画に1万人の視聴者がコメントを投稿していたとしても、すべてのコメントが同時に削除されます。このように、特定の投稿に対してさらに投稿する形でコンテンツが展開している場合は、元コンテンツが削除されると当然に関連のコンテンツもすべて消えてしまうため、気になったものがあったら保存しておく必要があります。

Archive Teamはこれらのリストを「一般的なウェブサイトの死因」としており、あくまで完全に包括的なリストではないと注記しています。また、これらの突然死に悩まされることなくデータを安全に保つ最良の方法として「事前にバックアップを作成する」ことを主張しています。

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in ネットサービス, Posted by log1e_dh

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