「最近の唐辛子は辛くない」という意見は慣れや強がりではなく本当に辛くなくなっている
辛い食べ物が好きな人は「最近の唐辛子料理は辛さが控えめになってるな~」と感じたことがあるはず。この「最近の唐辛子は辛くない」という意見は「辛いにのに強がっている」というわけではなく、本当に辛さ控えめな唐辛子が普及していることが海外メディアのD Magazineによって報告されています。
Here’s Why Jalapeño Peppers Are Less Spicy Than Ever - D Magazine
https://www.dmagazine.com/food-drink/2023/05/why-jalapeno-peppers-less-spicy-blame-aggies/
唐辛子には多様な種類が存在していますが、中でも「ハラペーニョ」は多くの料理店で使われているほか、スーパーマーケットなどでも比較的簡単に入手できます。このハラペーニョを使った料理について、D Magazineの記者であるブライアン・ラインハルト氏は「最近、ハラペーニョが辛くなくなっている」と感じていたとのこと。さらに、ラインハルト氏が複数のレストラン経営者に問い合わせたところ、ラインハルト氏と同様にハラペーニョの辛さの低下を感じている人が多いことが明らかになりました。
ニューメキシコ州立大学で唐辛子について研究するステファニー・ウォーカー氏によると、「農薬の変化」「栽培に使う機器の変化」といった生産環境の変化がハラペーニョの辛さに影響を与えている可能性があるとのこと。しかし、それらの要因による辛さはわずかなもので、根本的な要因は「ハラペーニョの品種改良」にあるとウォーカー氏は指摘しています。
ハラペーニョは広く栽培されている唐辛子ですが、従来のハラペーニョには「形が均一にならない」「ウイルスへの耐性が低い」という問題が存在。さらに、唐辛子の加工業者にとってハラペーニョは「辛すぎる」という問題も存在していたそうです。そんな中、テキサスA&M大学の研究チームが2002年に「TAM II」という品種を発表。TAM IIは「安定して大きく成長する」「ウイルス耐性が高い」といった特徴に加えて「辛さが控えめ」という特徴を備えており、生産が容易であることや辛すぎる唐辛子を嫌う加工業者からの受けがいいことが手伝って急速に普及しました。
上述の通りハラペーニョには多くの品種が存在します。しかし、ラインハルト氏の取材では、ほとんどの料理店のオーナーがハラペーニョに複数の品種が存在することを認識していないことが明らかになりました。料理店やスーパーマーケットが「ハラペーニョ」を仕入れる際は品種を指定しないことがほとんどであるため、必然的にTAM IIを仕入れる可能性が高くなります。このため、料理店で提供されるハラペーニョを使った料理やスーパーマーケットで売られるハラペーニョが辛くなくなっているというわけです。
なお、ウォーカー氏は辛さを求める唐辛子愛好家に対して、ハラペーニョを買う際は「ミトラ」や「アーリー」といった辛い品種を指定買いすることを推奨しています。
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