サイエンス

犬のコロナウイルスが人に感染することが判明、危険性はあるのか?


2021年5月20日、オハイオ州立大学の研究チームが2017年~2018年に肺炎を発症していた患者のウイルスを調べたところ、そのウイルスが犬から人間へ感染した新型のコロナウイルスであることが明らかになりました。「CCoV-HuPn-2018」と名付けられたこのウイルスは人間にとって危険性があるものなのか、ケンブリッジ大学のサラ・キャディ氏が解説しています。

'Dog coronavirus found in humans' – why you shouldn't worry
https://theconversation.com/dog-coronavirus-found-in-humans-why-you-shouldnt-worry-161510

CCoV-HuPn-2018は、研究チームが行ったあらゆる種類のコロナウイルスを同時に検出できるテスト「pan-CoV」で偶然発見されました。研究チームは2017年~2018年に肺炎で入院した301人に鼻咽頭スワブ検査を実施したところ、8人の患者からCCoV-HuPn-2018を発見。分析の結果、CCoV-HuPn-2018はこれまで同定されなかった新しいコロナウイルスであり、「コロナウイルスが犬から人間へ感染した初めての事例である」ということが判明しました。人間に感染するコロナウイルスは「SARS-CoV-2」を含めてこれまで7種が特定されているため、CCoV-HuPn-2018は8種目となる可能性があると研究チームは主張しています。

新型コロナとは別の「新しいコロナウイルス」2種類が動物から人間に感染していたと発表される - GIGAZINE


そもそもCCoV-HuPn-2018がどんなウイルスなのかということについて、キャディ氏は「CCoV-HuPn-2018は犬コロナウイルスの1つとして分類されるものです」と述べています。犬コロナウイルスは犬から犬に感染し、消化器系の異常を引き起こす腸内ウイルスであり、世界中の犬で症例がみられます。コロナウイルスは「アルファ」「ベータ」「ガンマ」「デルタ」の4種類に大別されますが、犬コロナウイルスはアルファに分類され、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こすSARS-CoV-2(ベータ)とは別のグループであるとキャディ氏は述べています。

CCoV-HuPn-2018の感染者は肺炎を発症していたということですが、8人の患者のうち7人がアデノウイルスインフルエンザウイルスパラインフルエンザウイルスといった別のウイルスにも感染していたため、肺炎の直接の原因がCCoV-HuPn-2018であるとは断定できないとのこと。


また、忘れてはならないのが、今回見つかったCCoV-HuPn-2018は2017年~2018年に人間に感染したものであり、2021年時点での感染拡大の報告はみられないことです。キャディ氏は「犬から人間にコロナウイルスが感染する可能性は低いです」と述べています。

キャディ氏はまた「コロナウイルスが注目の的となっており、必然的に予想外の場所から多くのサンプルが見つかりますが、これらの大部分は学術的な観点から価値があるものであり、警戒する必要はありません」と述べています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1p_kr

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