サイエンス

広島に投下された原爆によって形成された「ヒロシマ・ガラス」が太陽系の起源を明らかにする可能性


1945年8月6日に広島に投下された原子爆弾は、16万人以上の死者を出した壊滅的な被害を生んだだけでなく、放射線によるがんの発生率の上昇など、さまざまな影響をもたらしています。フランスのパリ・シテ大学の物理学者であるネイサン・アセット氏らの研究チームが広島湾で行った調査で、原爆によって形成された新たな物質「ヒロシマ・ガラス」を発見したことが報告されています。

Condensation of fallout glasses in the Hiroshima nuclear fireball resulting in oxygen mass-independent fractionation - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0012821X23004867


Hiroshima fallout debris linked to first solar system condensates
https://phys.org/news/2024-02-hiroshima-fallout-debris-linked-solar.html

1945年8月6日に広島市上空580mでさく裂した原爆は、半径260mの範囲に約1000万度、100万気圧のプラズマ火球へと姿を変え、地上に6287℃の熱波をもたらしたと考えられています。

爆発からわずか0.35秒後、火球の圧力は周囲の大気の圧力に合わせて急激に減少し、10秒以内に温度は1726℃から1226℃に低下したとされています。その結果、爆発直後の0.5秒から2秒の間に、コンクリートや鉄とアルミニウムの合金、工業用ガラスと土壌が瞬時に気化し、砂や河川の水、大気と混合され、さまざまなガラスが生み出されました。


研究チームは広島湾で発見された94個の「ヒロシマ・ガラス」を分析し、二酸化ケイ素や高酸化カルシウム、酸化マグネシウムからなる黄長石や、酸化アルミニウム含有量が高く、鉄を含む白粒岩、二酸化ケイ素や酸化ナトリウムに富むソーダ石灰、ほぼ二酸化ケイ素で構成された物質という、原爆によって形成されたとみられる4種類のガラスを特定しました。以下は研究チームが特定したヒロシマ・ガラスの例です。


さらに研究チームは、発見された二酸化ケイ素の同位体組成を計測しました。その結果、最初に黄長石からなるガラスが形成され、その後白粒岩、ソーダ石灰、純粋な二酸化ケイ素の順で形成されたことが明らかになりました。

研究チームによると、これらの物質の形成には、原爆のさく裂によって生じた約720~3000℃の火球内での急激な凝縮が関連しているとのこと。この凝縮のプロセスは、「CAI」と呼ばれる星間塵星間ガスの蒸発によって原始太陽系円盤で最初に凝縮したアルミニウムとカルシウムに富む固体の形成プロセスに酷似していると考えられています。


実際にヒロシマ・ガラス内の二酸化ケイ素の同位体組成は、CAIの組成の範囲内であったことが明らかになっており、ヒロシマ・ガラスが形成された環境はCAIの形成環境と異なるものの、研究チームは気体から固体へと変化するヒロシマ・ガラスの形成プロセスを理解することで、太陽系の起源とその後の物質の形成過程について明らかにすることができるとの期待感を示しています。

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in サイエンス, Posted by log1r_ut

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