「Apple Watchがハッキングされた」という投稿がApple公式コミュニティで賛同多数で注目を集める、「ゴーストタッチ」の可能性も
Apple公式のサポートコミュニティ上で、「Apple Watch Ultra 2がハッキングされた」という投稿が注目を集めています。投稿には同じ被害に遭遇したというユーザーが複数人集まりました。
Apple Watch Ultra 2 Hacked - Apple Community
https://discussions.apple.com/thread/255453237
問題の投稿を行ったのはAlpha_Imperiumというユーザーです。同氏は2024年2月1日にApple公式のサポートコミュニティ上で、「ゾッとした後、Apple Watchの触覚フィードバックが作動しているのに気づきました。Apple Watchを見ると、誰かが私のワークアウトアプリやヘルスケアアプリ、写真アプリを見て、個人情報を盗もうとしているようでした。私がホーム画面に戻ろうとボタンを押すと、ハッキングしてきた攻撃者は仮想キーボードで『We are in control(我々がコントロールしている)』と画面に入力しました。その後、攻撃者はアラームをセットして、私の位置情報を確認しようとしました。私はApple Watchにロックをかけようとしましたが、攻撃者はロック解除用のパスコードを入力し始めました。攻撃者は正確なパスコードは知らなかったようですが、パスコードで利用される数字については把握していたようです。攻撃者はパスコードの入力をミスしたためApple Watchは1分間ロックされ、その後、工場出荷時の状態に戻すことができました」と投稿し、ある日何者かに突如Apple Watchをハッキングされたことを明かしています。
2024年2月19日時点でAlpha_Imperiumさんの投稿には60件の「私も同じ症状を経験している」という意見が寄せられています。
Marcus-IIさんは「私の妻のApple Watch Ultra 2も、2024年2月2日14時30分頃にハッキングされました。彼女のApple Watch Ultra 2はモバイル通信が可能なモデルです。確かなことは言えませんが、Wi-Fiのみでハッキングされたとは思えません。偶然、彼女はハッキングされる直前に電話を受けており、これがハッキングのきっかけとなった可能性があります。この電話は借金の経済的援助を求めるもので、スパムだと思いすぐに切りました。電話の直後、突如Apple Watchが勝手に動作し始め、妻のiPhoneにpingを送信しました。妻がApple Watchを外してからも、攻撃者はパスコードを入力してApple Watchのロックを解除しようとしましたが、幸いにもパスコードの入力は失敗したため、ロックアウトされました。それから何をすべきか考え、端末の電源を落とそうとしましたが、電源ボタンが機能しませんでした。最後の手段としてリセットを試みたところ、これはうまくいきました。侵害されていないと思われる他のデバイスを使用して慎重にリセットしています。この出来事に関する情報や、講じるべき対策、予防措置などを知らせていただけると幸いです」と投稿。
ドイツ人のStefan_cgnさんも、「同じ出来事が今日、ドイツで私にも起こりました。Apple Watchの動作がおかしくなり、手首から外すとロックがかかってしまいました。その後、ロック解除のために数字が入力されたものの、パスコードは間違えていました。何度もパスコードの入力に挑戦していたため、Apple Watchをリセットしようとしたところ、これには成功しました」と記し、自身のApple Watchが同じように突如ハッキングされたと報告しています。
別のユーザーは、Apple Watch Series 9で同じような遠隔からのハッキング攻撃に遭遇したと報告しており、攻撃を受けた際のApple Watchの挙動を動画で撮影しYouTubeに投稿しています。動画ではApple Watchのディスプレイが突如点灯したり消えたり、パスコードがランダムに入力される様子も確認可能です。
Apple Watch Series 9 Suspected of Being Hacked: Subject to Unauthorized Remote Control - YouTube
なお、Apple関連メディアのMacRumorsは「一部のApple Watch Series 9およびApple Watch Ultra 2でゴーストタッチが報告されており、Appleは同問題について調査中である」と報じています。
Apple Investigating 'Ghost Touches' Issue Affecting Some Series 9 and Ultra 2 Watches - MacRumors
https://www.macrumors.com/2024/02/10/apple-watch-series-9-ultra-2-touch-screen-issue/
'Ghost touches' are haunting some Apple Watch users - here's what to do if you're affected | ZDNET
https://www.zdnet.com/article/ghost-touches-are-haunting-some-apple-watch-users-heres-what-to-do-if-youre-affected/
報道によると、一部のApple Watch Series 9およびApple Watch Ultra 2で、ディスプレイが勝手に動作する「ゴーストタッチ」と呼ばれる症状が確認されているそうです。Appleはこの問題を認識済みで、ソフトウェアアップデートで問題に対処する予定とのこと。
If you are experiencing false touch type symptoms on your Apple Watch Series 9 or Ultra 2, Apple is currently aware of this issue and is investigating. We've been told not to replace the watch for this issue but instead to tell you to wait for a software update to address it soon
— Stella - Fudge (@StellaFudge) February 10, 2024
MacRumorsが入手したAppleの内部文書でも、「一部の顧客がApple Watch Series 9あるいはApple Watch Ultra 2のディスプレイが誤作動する問題を報告している可能性があります」と記されていたそうです。この内部文書によると、問題が発生しているApple Watchでは画面が不規則にジャンプしたり、予期しない動作が発生したり、意図せず通話が開始されたり、パスコードを入力できなくなったりする可能性があるとのこと。
問題に遭遇したユーザーに対して、AppleはApple Watchのソフトウェアを最新バージョンに保つことを推奨しているため、これは将来的なwatchOSのアップデートで同問題に対処することを示唆しているとMacRumorsは指摘しています。ただし、Appleはこの問題がどの程度の範囲に及ぶかについては言及しておらず、いつ問題を修正するためのアップデートが配信されるか、そもそもソフトウェア上の欠陥が原因なのかハードウェア上の欠陥が原因なのかも不明です。
ただし、Appleは自社のエンジニアに対して問題が発生しているデバイスを修理しないよう指示しており、問題を解消するにはAppleのロゴが表示されるまでApple WatchのDigital Crownとサイドボタンを同時に10秒以上押し続け、端末を強制的に再起動することを推奨しています。
この報道を鑑みると、Appleの公式サポートコミュニティで報告されている複数の「ハッキングと思しき事例」は、まさにゴーストタッチであるように思えますが、最初に問題を報告したAlpha_Imperiumさんは「攻撃者が『We are in control(我々がコントロールしている)』と画面に入力した」と報告しており、この事例だけはゴーストタッチでは説明できそうにありません。
・関連記事
「Appleは弱く説得力のない主張をしている」としてITCがApple Watchの販売禁止延期要請に異議申し立て - GIGAZINE
Apple Watch Series 9とUltra 2のアメリカでの公式販売停止を政府が決定、Appleは判断を不服として上訴 - GIGAZINE
ついにApple Watch Series 9とUltra 2がアメリカで公式販売停止、旧モデルの修理も不可能に - GIGAZINE
AppleがApple Watch Series 9の発表の際に主張した「カーボンニュートラル」は不正確で誤解を招きかねないとの指摘 - GIGAZINE
S9チップ搭載&明るさ最大3000ニトに進化したAppleのスマートウォッチ「Apple Watch Ultra 2」フォトレビュー - GIGAZINE
・関連コンテンツ