X(旧Twitter)がテロリストに青色チェックマークを販売していたとの報告
IT業界監視団体であるTech Transparency Project(TTP)が、「X(旧Twitter)は青色チェックマークを『ヒズボラ』をはじめとするテロ組織に販売している」という調査報告を公開しました。
TTP - X Provides Premium Perks to Hezbollah, Other U.S.-Sanctioned Groups
https://www.techtransparencyproject.org/articles/x-provides-premium-perks-to-hezbollah-other-us-sanctioned-groups
Musk’s X sold checkmarks to Hezbollah and other terrorist groups, report says | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2024/02/musks-x-sold-checkmarks-to-hezbollah-and-other-terrorist-groups-report-says/
Terrorists Are Paying for Check Marks on X, Report Says - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/02/14/technology/terrorists-check-marks-x-report.html
Terrorists are allegedly buying blue checks on X - The Verge
https://www.theverge.com/2024/2/14/24073146/x-twitter-blue-check-hezbollah-terrorist-groups-sanctions
X let terrorist groups pay for verification, report says
https://www.engadget.com/x-let-terrorist-groups-pay-for-verification-report-says-201254824.html
Twitter accused of violating US sanctions by selling subscriptions to terrorist groups - Boing Boing X accused of selling blue checks to terrorists
https://boingboing.net/2024/02/14/twitter-accused-of-violating-us-sanctions-by-selling-subscriptions-to-terrorist-groups.html
Xは有料サブスクリプションサービスとして、Xプレミアムを提供しており、Xプレミアム加入者のアカウントには青色チェックマークが付くようになっています。Xはアメリカ政府がテロ組織と指定しているヒズボラをはじめとするテロ組織の構成員や指導者に対して、Xプレミアムを販売していたことが明らかになりました。なお、アメリカ企業は同国の制裁リストに載っている人物や組織との経済取引を禁止されています。また、Xのポリシーでもアメリカで制裁を受けている人物・組織がXプレミアムを購入することは、明示的に禁止されています。
TTPが発見した「テロ組織が運用しているチェックマーク付きのXアカウント」の詳細は以下の通り。
・ヒズボラの指導者であるハッサン・ナスルラ氏のアカウントには9万3000人以上のフォロワーがおり、青色チェックマークが付いています。これはアカウントの所有者が政府発行の身分証明書をXに提出したことを意味します。
・イランの国営報道機関であるPress TVとロシアのティンコフ銀行のアカウントには、金色のチェックマークが付いています。Press TVとティンコフ銀行はアメリカ政府の制裁対象です。なお、TTPによる調査が行われた段階では、金色のチェックマークを取得するには月額1000ドル(約15万円)の費用が必要です。
・リビアの独裁者であるムアンマル・カダフィの息子であるアル・サーディ・カダフィ氏のアカウントも青色チェックマークを取得しています。
・アメリカでテロ組織として正式に指定されているわけではないものの、イエメンのフーシ派アンサララの運用するアカウントもチェックマークを取得しています。
XはXプレミアム加入者に対して広告収入の一部を還元していますが、テロリストの運用するアカウントの返信欄にも広告が掲載されていたことが確認されているため、テロリストがXから広告収益を受け取っている可能性が指摘されています。
TTPはイーロン・マスク氏がTwitterを買収し、青色チェックマークを一般向けに販売するようになってから、Xによるアカウント認証プロセスはほとんどあってないようなものになっていると指摘。
一方で、Xの公式アカウントのひとつであり同サービスの安全性に関する発表を行うSafetyは、「Xは法的義務を遵守し、決済プロバイダーによる独立した審査と共に、収益化機能に対して堅牢かつ安全なアプローチを導入しています。TTPの公開したリストに記載されているアカウントのいくつかは制裁リストに直接名前が記載されていませんが、その他のアカウントには制裁対象となるサービスを受けずにアカウントにチェックマークが表示されている可能性があります。私たちのチームはTTPのレポートを確認し、必要に応じて措置を講じます。我々は常に安全・安心・コンプライアンスに準拠したプラットフォームを維持することに取り組んでいます」と投稿し、問題に対処するとしています。
X has a robust and secure approach in place for our monetization features, adhering to legal obligations, along with independent screening by our payments providers. Several of the accounts listed in the Tech Transparency Report are not directly named on sanction lists, while… https://t.co/jgEzkNcFqj
— Safety (@Safety) February 14, 2024
実際、記事作成時点でPress TVとティンコフ銀行のアカウント以外からは、チェックマークが削除されたことが確認されています。
なぜXはテロ組織が運用しているアカウントにチェックマークを付与しているのかについて、TTPは「Xが無料でチェックマークをテロ組織に贈った可能性」や「無関係の第三者がなりすましでXの認証プログラムをだましてチェックマークを取得した可能性」などを挙げていますが、「Xがテロ組織とXプレミアムの購読を介して金銭の取引を行っている場合、アメリカの制裁に違反する可能性がある」と指摘。海外メディアのThe Vergeは、「ソーシャルメディアプラットフォームがどの程度厳密にユーザーを精査すべきかという新たな疑問を引き起こしています」と記し、Xのずさんなユーザー認証プロセスを批判しました。
また、TTPは今回発見された「テロ組織が運用しているチェックマーク付きのアカウント」について、マスク氏がTwitterを買収する前の段階ではチェックマークが付いていないものばかりだったと指摘。そのため、「Xは制裁対象に対して有料サービスを提供したこととなるため、新たな法的問題が生じる可能性がある」とTTPは言及しています。
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