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「森」がフィクションの舞台として魅力的な理由とは?


グリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」で森の中に魔女の家を見つけたり、「ハリー・ポッター」シリーズでは「禁じられた森」という危険なエリアが重要なシーンで繰り返し登場したり、森がフィクションにとって魅力的な舞台となることが時代を問わず数多くあります。森という舞台の魅力について、英語教師兼作家のテリー・パルラート氏が語っています。

What Makes a Forest Such a Seductive Setting for Fiction? ‹ CrimeReads
https://crimereads.com/what-makes-a-forest-such-a-seductive-setting-for-fiction/


「ヘンゼルとグレーテル」は、貧しい一家で口減らしのため森に捨てられてしまった兄と妹が、森の奥でお菓子の家を発見し、魔女に招かれて監禁されます。ここでは森は「帰り道がわからない迷宮」であり、奥に悪い魔女が隠れ住む「未知で不安な場所」として機能しています。


一方で、家では冷酷な親に抵抗できず森に捨てられるままだった2人が、森では悪い魔女に自ら作戦を立てて対抗するという、勇気ある冒険心を抱いています。さらに、物語の最後で魔女を打倒したヘンゼルとグレーテルは、魔女の家にあった財宝を持ち帰ることで、裕福な暮らしを手に入れました。その他、町から追われた人が隠れ住む場所になったり、探し求めた美しい花を見つけられたりと、外界から隔絶された特別な空間としても描かれることがあります。パルラート氏によると、この「暗くて怖い場所」と「野性的で自由な場所」という二項対立が、森を魅力的な空間にしているとのこと。

森は自然が支配する場所であり、人間の法則が消滅し、人間の行動が社会の目から守られる場所です。町では禁止されている行動を自由に行えたり、人の目から隠れて不貞行為を行う場所に使われたりすることもあります。さらに、人の目から隠れるという性質上、森は悪いことを考えている人にとって最適な場所になり、おとぎ話やスリラー、ミステリーなどの小説で完璧な舞台となります。


森の魅力的な二面性を示した例として、パルラート氏は20世紀初頭に活躍した詩人であるロバート・フロスト氏の代表的な「雪の降る夕方森に寄って」という詩を引用しています。

The woods are lovely, dark and deep,(森は美しく、暗く、深い)
But I have promises to keep,(しかし私には守るべき約束がある)
And miles to go before I sleep,(行くべき道のりがある、眠る前に)
And miles to go before I sleep.(行くべき道のりがある、眠る前に)


パルラート氏の解釈によると、「雪の降る夕方森に寄って」では森に降る雪の崇高な美しさを称賛しつつ、森の怖さを語っているそうです。美しい景色に引かれながらも行くべき場所を目指して森から離れていく人物は、自然界と人の世界で揺れ動いていると同時に、生か死かの選択で揺れ動いているとパルラート氏は指摘しています。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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