サイエンス

「笑う」を科学的に分析してわかる声を出して笑うメカニズムや笑いのルーツとは?


面白い時や楽しい時、私たちは歯を見せたり呼吸を乱したりして笑います。人間がなぜ笑うのか、そして笑いという普遍的な行動がどのように進化してきたのかという一般的な科学理論について、YouTubeチャンネルのTED-Edがアニメーションで解説しています。

The science of laughter - Sasha Winkler - YouTube


何か面白いことがあると、ニカっと歯を見せて口角を上げたり、ハハッと声を出したり、大きく口を開けておなかを抱えて痛みさえ感じたりして、私たちは笑います。


「声を出して笑う」というメカニズムは、笑うと腹筋が急速に収縮する点に由来します。腹筋が収縮すると、呼吸パターンが変化し、胸の中の空気が押し出されて上昇。結果、上昇した空気は鼻息や吐息、または発声として表れます。話している時よりも腹筋に力が入る運動のため、呼吸は乱れてまともに話すことは難しく、また長時間笑うと腹筋が痛くなることもあるというわけ。さらに、笑うと反射神経や筋肉の制御が阻害されるため、「笑いすぎて膝から崩れ落ちる」というようなことも発生します。


笑いのルーツについて考えるとき重要なのは、笑うのは人間だけじゃないということです。1990年代後半の研究者たちは、超音波レコーダーを用いた実験で、くすぐられているラットがくすくす笑っていることを発見しました。その後、いくつかの研究によって、少なくとも65種の動物が遊んでいるときに笑いのような発声をしていることが示されています。そのうち、ほとんどが哺乳類ですが、一部鳥類も含んでいたそうです。


特に、ヒト以外の霊長類が笑いのような発声をすることを観察したことで、研究者らは「すべての大型類人猿の祖先が、笑いのような反応を見せていた」と考えています。研究者によると、類人猿は「友好的で非攻撃的な意図」を明確に示すために笑っていたと考えられるとのこと。


ただし、人間は楽しくじゃれている時だけではなく、面白いものを見たとき、さらには驚いたり混乱したり緊張したりしている時にも笑うことがあります。一部の科学者は、他の霊長類と分れて大規模な社会集団と複雑な言語能力を発達させるにつれて、感情を伝えるためやさまざまな文脈の中で正しく意図を伝えるために、「笑いの機能が拡張された」と考えています。


「誘い笑い」という言葉があるように、笑いは人から人へ伝染する性質があります。これは、笑いというのが社会の中で感情や友好を共有するために進化した証拠であると考えられます。ある研究では、何か面白い動画や画像を見た際に、一人で見るよりも誰かとそれを見たときの方が、大きくまたは長く笑う人が多いことが示されました。


さらに、私たちは心から笑っているのか作り笑いなのかを笑い声だけで見抜くことができます。これは、心から笑っているときは他の動物が笑う際にも用いられる脳の根源的なネットワークから発声しますが、作り笑いの際は似たような音声を作ろうとする全く異なる領域で生成されることによります。


赤ちゃんが言葉を話すよりも前に笑うことができるように、笑いは人間の普遍的な行動です。いくつかの研究では、よく笑う人はより効果的にストレスに対処できるほか、心臓血管の健康状態にも良い影響を与えると示唆されています。社会性やコミュニケーションの手段になるだけではなく、健康面に良い影響を与える可能性があるものとして、積極的に笑いを求めることは重要です。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1e_dh

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