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写真撮影後に表情を入れ替えてしまうGoogle Pixel 8のAI機能「ベストテイク」が物議を醸す


2023年10月に発売されたGoogleの純正スマートフォン「Google Pixel 8」と「Google Pixel 8 Pro」には、被写体の人物それぞれのベストな表情を選択して、1枚の集合写真に合成するAI編集機能「ベストテイク」が搭載されています。そんな「ベストテイク」をめぐって、「本物の写真とは何か」という議論が巻き起こっています。

How to Swap Faces Using the Google Pixel Best Take AI Feature | nextpit
https://www.nextpit.com/how-to-swap-faces-pixel-best-take-ai-feature


Google Pixel 8's AI Features Start Conversation on Perfection | PetaPixel
https://petapixel.com/2023/10/12/google-pixel-8s-ai-features-start-conversation-on-perfection/

How Google’s Best Take uses AI to edit your photos and fix smiles - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2023/10/11/ai-face-google-best-take/

「Google Pixel 8」と「Google Pixel 8 Pro」に搭載された「ベストテイク」機能は、10秒以内に5~7枚を連写で撮影し、写っている人それぞれのベストな表情を選択して、1枚の集合写真に合成するAI編集機能です。「ベストテイク」機能の使い方については、以下の記事で詳しく解説しています。

AIのスゴさを実感できるGoogle Pixel 8 ProとPixel 8の「ベストテイク」と「音声消しゴムマジック」を使ってみた&Pixel 7からのカメラの進化もチェック - GIGAZINE


「撮影の際に目をつぶってしまった」「よそ見をしていた」などのトラブルを解消できたり、最も良く撮れた顔を合成できたりする「ベストテイク」機能ですが、一部のユーザーからは、「越えてはならない一線を越えてしまった」と指摘されています。

ワシントン・ポストのジェフリー・ファウラー氏は、「ベストテイク」機能は、必ずしも現実を反映していないような笑顔などをキュレーションする、私たちがSNS上で取り組んできた文化的圧力を拡大した機能と批判しました。さらにファウラー氏は「『ベストテイク』機能は偽物の写真を撮影する機能です」と指摘しています。

これまで、Adobe Photoshopなどの画像編集ソフトウェアを用いることで、写真の明るさや肌の質感など、被写体の見栄えを良くするプロセスや、別の画像から顔を切り取って他の画像に重ねるプロセスが可能でした。ファウラー氏はこのような技術がありながら、「ベストテイク」機能を批判する理由について、ファウラー氏は「『ベストテイク』機能では、『どの顔が最適か』『どの顔が残す価値があるか』をAIが判断することになります。そのため、自身の記憶や思い出を見返すためにスマートフォンで撮影した写真をAIに編集させることには不安を感じます」と述べています。


これらの批判に対し、Googleは「『ベストテイク』機能を使用して作成された画像は、写真を構成する部分は全て本物の写真から切り出したものなので、偽物の写真ではありません」と反論しています。また、海外メディア・WIREDのジュリアン・チョッカットゥ氏は「目を閉じたり、よそ見をしてしまった集合写真を撮った経験が誰しもあるはずです。『ベストテイク』機能は、子どもたちの親が、子どもが活発に動いたとしてもベストな写真を撮影できるという点で優れています」と称賛しています。

一方でニューヨーク・タイムズのブライアン・チェン氏は「『ベストテイク』機能は、写真撮影における大きなターニングポイントです。この機能は確かに最先端の技術ですが、『ベストテイク』機能を用いて作成された写真はもはや視覚的な事実を示していません」と批判しました。同様に、PiunikaWebのヒラリー・ケヴェレンゲ氏は「これまでの写真は、被写体が完璧であろうとなかろうと、撮影された瞬間を如実に表しています。しかし『ベストテイク』機能では、AIが自動的に画像編集を行い、最も見栄えの良いバージョンに置き換えてくれます。確かに、この機能は既存の写真を使用して被写体の調整を行いますが、撮影された瞬間を表しているものではない非現実的なものです」と述べています。


PetaPixelのジェレミー・グレイ氏は「被写体の笑顔がゆがんでいたり、間抜けな表情になっていたりとタイミングの悪い写真が撮影されることもあります。しかし、これらの写真も一つの思い出で、独特の魅力があります。このような魅力をAIは決して理解できないでしょう。幸いなことに、『ベストテイク』機能は今のところオプションで、使用するかどうかはユーザーに委ねられています」と述べました。

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in モバイル, Posted by log1r_ut

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